Νovel

□恋に堕ちたら
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春。桜がヒラヒラと舞落ちる春の日


テイト・クライン16歳はこの日運命的な出会い方をした。



「迷子なんて…俺はなってない!…多分…」


強気に発したが自信はない


テイトはこの日軍士官学校の入学式。


出来の良い双子の弟(ミカエル)は「私は先に行っている」と言われテイト一人で軍士官学校へと向かったのだが…



途中迷った。

士官学校らしき建物は見えるのだが建物へ向かって歩いても行き止まりだったり通行止めだったりで…いつの間にか迷った(ちなみに本人は建物が見えるから迷子だとは思っていないのが厄介)



「ヤバイもうすぐ入学式の時間だ」


腕時計を見るとあと15分程で入学式の時間


とにかくこのままでは間に合わない!と思い近くや地元の人間等歩いている人を探した


丁度下り坂になっている場所でテイトの前に歩いて軍の制服を着ている男性を見つけたのでその人物に話しかけようとしたのだ



「すみませーん!あの道を教えて…下さい…いっ…ってうわぁぁ!」



テイトの声で男性は振り返るが


テイトは下り坂でいきなり走った為テイトは止まる事が出来ず男性にタックルを決めるような形で止まったが男性はテイトを受け止めたのだが勢い余り男性は尻餅を着きテイトはその場にズシャァと倒れた


「…大丈夫…か?」


尻餅を着いた男性は立ち上がりテイトに手を差し延べた


「す…すみません…だ大丈夫です」


男性の手をとり伝える


正直恥ずかしい。見知らぬ人に道を聞こうとしたらタックルを与えたのだから


(…穴が有るなら…入りたいっ…)


「…ふむ…怪我をしたか?」


男性はテイトの足が倒れたせいで擦れて血が流れて居るのに気付きポケットからハンカチを取り出しテイトの足の血を拭き取る


「あ!すみませんっ」


ハンカチを見れば高そうな生地だという事に気づき再び申し訳無いという気持ちになる


それを気付いたのか分からないが男性は何か思い出したように話す



「…そういえば…軍士官学校の生徒が私になんだね?」


よくよく男性を見れば軍服を着ている


「あ…はい…実は士官学校の道のりが分からなくて…」


しゅんっと凹むが



「…丁度私も軍士官学校に行く所だ」


正直助かった!と思う


「…足は平気か?」


「大丈夫です。本当にすみません色々、このハンカチ駄目にしてしまって…あ。良かったらお返しさせて下さい!」


「…………」


男性は何かを考えたそぶりをした後に頷いた


「…ありがとう…だが君は新入生だろう?寄り道している時間は無いのではないか?」


テイトはハッと思い出して


「あ…そうだった…どうしよう…」


困る。自分で言っていて実行出来ない事も


男性は胸ポケットから小さなケースを取り出してテイトに手渡す


「それでは…君に時間がある時…ここに連絡くれれば待ち合わせ出来るのではないか?」


手渡されたのは名刺。テイトはそこに書いてある文字を読み取る


「…アヤナミ…さん?」


「…そうだ…君の名前は?」


「テイト・クラインです」


「…テイト、クライン…か。ここだ士官学校は」


ハッと気付けば学校の前でテイトは振り返る


「ありがとうございますアヤナミさん!」


「…入学式に間に合って良かったな…では失礼する」


アヤナミはそう告げるとテイトは反対の方へと向かう


「必ずお礼しますね!」



テイトはその背を見送りながら大声で伝えたのだった




〇〇〇〇〇
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