Νovel
□純白に宿る命
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運命の出会いというのはどこで出会うのか解らない。ただわたしの運命の出会いというのは小さな花だったんだと思う。
あれはもうすぐ冬が訪れる季節の事
昼間の日差しは暖かいが空気は澄んでいて肌寒く夜ではコートやダウンを着ていないと風邪を引くぐらい寒い
アヤナミはその日他社での会議がありそのまま帰宅する事になり自宅へ帰る途中だった
たまたま通り掛かった花屋さん
いつもなら目を引かなかったのに何かに呼ばれた気がして振り返ると花が目に入ったのだ
目についた花に歩み寄る
純白の小花が咲いてる花が目に入る
アヤナミは可憐な花を何故か手にとり観葉植物すら育てた事無いのに買ってしまった
片手には白い花を丁寧に包んでもらい自宅に持ち帰る
帰り道に花屋の店員さんが「花に話しをかければ花は問いに答えてくれますよ」と言った
普段ならば馬鹿馬鹿しいなどと思うのだがアヤナミはそうは思わ無かった
自宅に帰宅した後花を日当たりの良い場所に置き
その日から暇さえあれば魅入るように花を見つめた。
枯れないように大事に育てた。アヤナミがこの花を買ってから約一ヶ月が経った
小花から小さな紅い実を成す
まだまだ収穫するのは出来ない
いや収穫するつもりはないのだが。毎日実を見守り続ける
金曜日早めに帰宅して夜、今日も実を見守る為小さな小花を見つめていたのだがどうやら寝てしまいアヤナミが目が醒めると朝になっていた
冬に近しい季節で何も掛けないで寝てしまったようでアヤナミは少し寒気がした
12月24日
今日は土曜日だから体を休ませれば月曜日には治ると思いアヤナミは薄着をしていたので服を着ようと自室に戻ろうとすると気付く
いつも見守っていた実が無くなっている事に…
熟れてしまったのかもしれないと思いアヤナミは実が落ちていないか探したが実は消えていて何処に消えたのだろうと考えた瞬間だった
カタンッと物音がしてアヤナミは振り返るとそこには知らない女性が立っていた
「…誰だ…?」
ここはアヤナミが独りで暮らしているマンションだ。女性は部屋に入れていないし入れる環境でもない
女性はいっぱいいっぱい一生懸命に話す
「…いつも…育ててくれて…ありがとう」
何を話している?とアヤナミは思ったが
謎はすぐに解けた
「…俺…この花」
女性は実がなっていた花を指差す
「大切に…育ててくれたから…姿に出来た…」
「…お前がこの花の化身とでもいうのか?」
アヤナミは問い掛ければ女性はコクリと頷く
まさかとは思ったが実が無くなっている事それにアヤナミの目の前にいる女性はどこと無く最初アヤナミが持ち帰った時に可憐に咲いていた純白の花の雰囲気に似た女性だと思う
「お前…名前は…?」
「…名前…?」
アヤナミの言葉を理解しているのかしていないのかは解らないが女性はう〜ん?と考えて答えた
「…仲間達からはテイトと呼ばれてた…」
仲間達とは誰だ?とアヤナミは思ったが気に止めず
「そうか…私はアヤナミだ」
「アヤ…ナミ?…」
コクリと頷くと嬉しそうに喜んだ
○○○○
アヤナミが目覚めると小さな寝息が聞こえる
フッと横を見ればテイトがスヤスヤ眠っていた
深い眠りに入っているらしいテイトは幸せそうに寝ている
身体は大人びてても中身は子供の様に無垢なテイト
アヤナミは起こさないようにテイトの髪に触れる
柔らかい髪質
(本当にあの花なのか…)
大事に育てて来た花が実になり具現化して人間となった
お伽話のような話だし普通なら信じられない
でも信じない訳にはいかない
何せテイトは今ここに居るのだから…
○○○○
テイトはアヤナミの言うことを良く聞いた
テイトは無知な子供の様に何でも知りたがる子供のようだった
「アヤナミさんコレは?」
「これは万年筆というのだ…これにこう書くと文字がかける」
アヤナミは目の前でテイトに文字をすらすら書く
するとテイトはおーっと万年筆のインクに目を光らせる
「書いて見るか?」
アヤナミが尋ねればテイトはこくりと頷きアヤナミは万年筆を渡しテイトはいざ紙に書こうと万年筆を握り書こうとするが万年筆を立てて書いたので紙にインクが映らなくて小首を傾げアヤナミが書き方を教えた
文字は解らないがテイトはマルやらバツやら形を書く
字も後々教えてあげようとも思った
○○○○