☆U☆

□ありえねまりあーじゅ
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もう、ブン太の馬鹿

誰が片付けると思ってるのよ

また下の階の人が文句言いにきたらどうするの



ずきずきと痛む四肢を立てて

散らばった夕飯を集めていると腹部を蹴り上げられた



「―ぐッ!!」




胃液が込み上げて来て咳込む

消化管がひりひりと痛んだ

お腹を抱えてうずくまるとまた髪を引っ張られて

無理矢理半身を起き上がらされる




「い…たい…ブ…ン…太…やめ……」



「ごみ以下の分際で人の名前を呼んでんじゃねぇ…よッ!!」




ばしっ




髪を掴んだのと逆の手で思い切り頬を張られる

ぴきっ、と耳が痛む

他の痛みなど舌を噛まないのに必死で感じている暇などなかった





ばしっ

ばしっ

ばしっ

がっ




平手は徐々に拳に代わり

音も響くよりも内側に篭る様になっていった




脳みそが揺れる

気持ち悪い

痛みもだんだん麻痺して来て

振動のみが私を襲う





歯を食いしばり息を荒げてぶつぶつ呟きながら私を殴っていたブン太も

いつしか無表情に戻っていた

殴って居た手が止まり髪を掴んで居た手が緩む



やっと解放された




そう思った最後の意識はやっぱりスローモーション

近付いていくのは床



そこには先刻私がかき集めた食器の破片



鋭利な一片が蛍光灯に輝き私は絶叫した






(喉を鳴らして笑うブン太の足の裏が力強く頭をしたがえて瞬きする間もなく破片が…)








(こんなことありえない)

(絶対にありえてはいけなかったのに)


ありえねまりあーじゅ


(でも私は“狂人の花嫁”だから)


【狂華様的には意味は「人になる事を望んだMa'ria」らしいね。Aliene Ma'riage」】
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