☆U☆

□ありえねまりあーじゅ
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そんな事を考えているとつかつかとブン太がこっちに向かって歩いて来た

反射的に身構えたけれどやっぱり男女の差は大きい

後ろから蹴飛ばされ無様に床に倒れ込んでしまった

起き上がろうと腕を立てると落ちていた鍋で思い切り肘を殴られる



「ぐっ…」



予想以上の痛みに再び床にはいつくばる

途端頭皮と首に嫌な痛み





ごっ





おでこと床がぶつかる音

ちらつく視界の中

髪を引っ張られ無理矢理顔をあげさせられる




ごっ




再びおでこが床にぶつけられる音




「うまいんだろぃ?勿体ないから全部飲めよな」





ごっごっごっごっ




幾度も髪を引っ張られ顔を床に打ち付けられる

おでこは既に痛みを感じなくなり目の周りの骨が痛み出した

いつしか鉄臭い鼻血がフローリングの上で泥水色の水溜まりに混じっていった

もはや意識は朦朧

此処で意識を手放せたならどれほど幸せだろう



しかし皮肉にも私の体は人並には丈夫で

平均的にも女は男よりも痛みに強かった




「…汚ねぇんだよ」



舌打ちをして掴んだ髪を放すブン太

殴られるよりも先に上体を起こしす

途端に鼻血がエプロンを汚していく






ずきずきとする鼻を押さえたその時

足元で何かが割れた




ぱりん




おひたしの入った皿だった

入ったままのおひたしの一部はぺたりと私の足に張り付いた





「お前みたいに汚れた女が作った飯なんて食えるかよ」




軽蔑の眼差しでテーブルの上の皿を投げ付けて来るブン太

綺麗なオレンジの橋

色違いで揃えた二人の茶碗

結婚祝いに真田くんがくれた有名な先生が作ったという陶器のお皿

幾つかは床に当たって砕け

幾つかは直接私に当たって床に転がった
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