オリジナル小説

□九尾の幼狐と千の罪
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月の綺麗なとある夜
一人の少女が森を駆ける


タッタッタッタ………


?「ハァ、ハァ………」


月明かりに照らされる少女の髪は金色に輝いていた。しかしこの少女は外人でも、髪を染めている訳でもない

そして………


ヒトでも無い



?「ハァ、ハァ………っ!」


少女は足を止める


?「そんな………」


少女の目の前には崖
崖の下ではゴゥ、ゴゥと激しく水が流れている
しかし少女に迷っている時間は無い


?「すぅー、はぁー………行きます!」


タッ!


少女は跳んだ

生きる為に

傷だらけの体に鞭を打って


ドボンッ!


少女は沈み流れる

少女は生きるのか

少女は死ぬのか

それは誰も知らない

崖の上で見下ろす“何か”にも

この先に出会う“誰か”にも





【九尾の幼狐と千の罪】


第一話『幼狐』








?「行ってきますお兄様!」


?「ああ、行ってらっしゃい千波(ちなみ)」


学生服を着た千波と呼ばれる少女を見送るこの青年、姓を永月(ながつき)名を千景(ちかげ)と言う。千波は千景の妹である

彼らの住んでいるのは町外れにある古めかしく、どこか神秘的な洋館
両親?いえいえ、残念ながら両親はもうすでに………
まぁこの洋館は毎日が賑やかですよ?これ本当

え?
私は誰かって?
私はこの物語の語り部、そうですねぇ………“カミサマ”とでも名乗っておきましょう
何?早く物語を続けろ?
はいはい分かっていますから焦らずじっくり行きましょう


千景「………石楠花(しゃくなげ)、雛罌粟(ひなげし)」


千景がそう言うと洋館の扉からは赤い着物と青い着物を着た少女が二人現れる


石楠花「もうお仕事?」


赤い着物の少女、石楠花はハキハキとした口調で聞く


雛罌粟「行くのー?」


一方青い着物の少女、雛罌粟はおっとりとした口調で続けて言った


千景「今日の仕事は大したことは無いと思うが少し遠いから早めに行こうと思う」


石楠花「了解!」


雛罌粟「りょーかーい」


千景は返事を聞くと洋館の隣にある車庫へと向かう。その後ろには二人の少女もいる
シャッターを開けるとそこにはサイドカー付きのバイクがあった。千景はバイク本体に、石楠花と雛罌粟はサイドカーに乗り込む


石楠花「今日はひーちゃんが上だよ」


雛罌粟「分かったー、とうっ!」


ぼふっ


石楠花「に゛ゃ!?………ひーちゃん、もっとゆっくり乗ってよ!」


雛罌粟「ごめんねー、しーちゃん」


叫ぶ石楠花に対して雛罌粟は“あははー”と笑っている


千景「ほら、二人とも遊んで無いで行くぞ?」


石楠花「うー…、石楠花は遊んで無いのに」


雛罌粟「どんまーい、しーちゃーん」


石楠花「誰のせいだー!」


このやり取りは見ててほのぼのしますねぇー
もうお分かりだと思いますがこの石楠花と雛罌粟は双子で、性格は正反対ですね。ただ見た目は瓜二つで、二人とも亜麻色の日本人形の様な長髪です。違うのは性格、着物、あと石楠花には右耳の前に小さな三つ編みがあり、雛罌粟には左耳の前にあります


千景「さて、ここら辺の筈だが………」


おや、話をしている内に千景サン達は目的地に着いた様ですね。
決して作者サマの手抜きではありませんよ?


石楠花「はい、この先から感じます」


雛罌粟「ビンビン感じるよー」


二人は目の前に広がる森の奥を指してそう言った


千景「なら行くぞ。二人ともはぐれないようにな」


石楠花「はいっ!」
雛罌粟「はいー」
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