恋姫小説

□真・恋姫†無双〜蘇芳列伝〜 第壱話
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?「………」

?「………ふぅ」

荒野の中を一人の男と一人の少女が歩いていた

男「疲れたか?」

少女「………はい、少しだけ」

男「なら休もう。頼むから無理はするなよ、神花(しぇんふぁ)」

神花「無理はしてませんよ、お父様。ただ桂花の事が心配だっただけです」

男「それじゃあ尚更心配だ。大丈夫、あの子は頭がいいし強い子だ」

神花「そう………ですね」

神花がそう言うと男は休憩の準備をする

この神花と呼ばれる少女の名は荀衍(じゅんしん)、字は友若(ゆうじゃく)、真名は神花
いずれ魏の軍師となる荀文若こと桂花の姉である

そしてこの男の名は蘭葵(らんき)、字は賢羅(けんら)、真名は蘇芳(すおう)
荀姉妹の義父である

この物語は三国の未来を見届ける男、蘇芳の物語である


【真・恋姫†無双蘇芳列伝】


蘇芳「さて、そろそろ行くか」

神花「すみません、私のせいで遅れてしまい………」

蘇芳「気にするな、遅くなるよりもお前に体を壊して貰われる方が困るからな」

蘇芳は神花の頭くしゃくしゃっと撫でる

神花「ひゃうっ!お父様…//////」

蘇芳「うん、可愛い可愛い………ん?」

神花「どうかなされましたか?」

蘇芳「いや、向こうに見えるのは女の子か?」

神花「女の子………ですか?」

神花は蘇芳と同じ方向を見る

蘇芳「ほら、紅い髪の女の子と………犬だな」

神花「それに大きな戟を持ってますね」

蘇芳「………ふむ」

神花「気になるのなら声を掛けてはどうですか?」

蘇芳「ああ、そうするよ」

そう言うと蘇芳は紅い髪の少女の元へ向かう




【少女side】
犬「わんわん!」

少女「………セキト?」

誰か………来た?

蘇芳「こんにちは、お嬢さん」

少女「………?」

………知らない人

蘇芳「君の名前は?」

少女「………呂布、奉先」

つい………言っちゃった

蘇芳「そうか、勇ましい名前だな。それで呂布は何しているんだい?」

呂布「………別に」

蘇芳「家はこの先の邑にあるのか?」

呂布「………(フルフル)」

蘇芳「………もしかして一人で旅を?」

呂布「………セキトも」

蘇芳「この犬の事か?」

セキト「クゥーン………」

呂布「セキト………家族」

蘇芳「ふむ、それは失礼した」

………変な人

呂布「…(ギュルギュルギュー)」

蘇芳「………お腹空いてるのか?」

呂布「………//////(コクッ)」

お腹空いた………

蘇芳「なら丁度いい、俺も娘とこの先の邑をお昼を食べる所だ」

呂布「でも………お金」

………もう無い

蘇芳「別に構わないさ、奢ってやるよ」

呂布「………何で?」

………すごく変な人

蘇芳「何でって………一目惚れかな?」

呂布「………??」

………よくわからない

蘇芳「まぁとにかくおいで、娘の話し相手にもなって欲しいからな」

そう言ってこの人は手を差しのべた

呂布「………名前」

蘇芳「ん?………ああ、言うの忘れてたな。俺の名は蘭葵、字は賢羅だ。それじゃあ行こうか」

………変な人、すごく変な人、だけど私はその変な人の手を握った

………暖かい




【蘇芳side】
蘇芳「待たせたな、神花」

神花「いえ………やはりその子を連れて来たんですね?」

神花は蘇芳が少女を連れて来るのを予想していたようで、微笑んでいた

蘇芳「まあな………神花、挨拶しなさい」

神花「はい、私の名は荀衍、字は友若です。宜しくお願いします」

神花は礼儀正しく挨拶をする

呂布「………呂布、奉先」

神花「呂布ちゃん?」

呂布「………恋」

神花「え?それは………」

蘇芳「真名、だろうな。いいのかい?ついさっき会った奴に真名なんて教えて」

恋「………いい」

恋はただ一言そう言った

蘇芳「なら俺も教えるべきだな。俺の真名は蘇芳だ」

神花「私の真名は神花です」

恋「…蘇芳……神花」

恋は嬉しそうに二人の真名を言う

蘇芳「さて、この先の邑に向けて出発するか」

神花「はいっ!」

恋「………(コクッ)」

セキト「わんっ!」
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