恋姫小説
□真・恋姫†無双〜蘇芳列伝〜 第壱話
1ページ/2ページ
?「………」
?「………ふぅ」
荒野の中を一人の男と一人の少女が歩いていた
男「疲れたか?」
少女「………はい、少しだけ」
男「なら休もう。頼むから無理はするなよ、神花(しぇんふぁ)」
神花「無理はしてませんよ、お父様。ただ桂花の事が心配だっただけです」
男「それじゃあ尚更心配だ。大丈夫、あの子は頭がいいし強い子だ」
神花「そう………ですね」
神花がそう言うと男は休憩の準備をする
この神花と呼ばれる少女の名は荀衍(じゅんしん)、字は友若(ゆうじゃく)、真名は神花
いずれ魏の軍師となる荀文若こと桂花の姉である
そしてこの男の名は蘭葵(らんき)、字は賢羅(けんら)、真名は蘇芳(すおう)
荀姉妹の義父である
この物語は三国の未来を見届ける男、蘇芳の物語である
【真・恋姫†無双蘇芳列伝】
蘇芳「さて、そろそろ行くか」
神花「すみません、私のせいで遅れてしまい………」
蘇芳「気にするな、遅くなるよりもお前に体を壊して貰われる方が困るからな」
蘇芳は神花の頭くしゃくしゃっと撫でる
神花「ひゃうっ!お父様…//////」
蘇芳「うん、可愛い可愛い………ん?」
神花「どうかなされましたか?」
蘇芳「いや、向こうに見えるのは女の子か?」
神花「女の子………ですか?」
神花は蘇芳と同じ方向を見る
蘇芳「ほら、紅い髪の女の子と………犬だな」
神花「それに大きな戟を持ってますね」
蘇芳「………ふむ」
神花「気になるのなら声を掛けてはどうですか?」
蘇芳「ああ、そうするよ」
そう言うと蘇芳は紅い髪の少女の元へ向かう
・
・
・
【少女side】
犬「わんわん!」
少女「………セキト?」
誰か………来た?
蘇芳「こんにちは、お嬢さん」
少女「………?」
………知らない人
蘇芳「君の名前は?」
少女「………呂布、奉先」
つい………言っちゃった
蘇芳「そうか、勇ましい名前だな。それで呂布は何しているんだい?」
呂布「………別に」
蘇芳「家はこの先の邑にあるのか?」
呂布「………(フルフル)」
蘇芳「………もしかして一人で旅を?」
呂布「………セキトも」
蘇芳「この犬の事か?」
セキト「クゥーン………」
呂布「セキト………家族」
蘇芳「ふむ、それは失礼した」
………変な人
呂布「…(ギュルギュルギュー)」
蘇芳「………お腹空いてるのか?」
呂布「………//////(コクッ)」
お腹空いた………
蘇芳「なら丁度いい、俺も娘とこの先の邑をお昼を食べる所だ」
呂布「でも………お金」
………もう無い
蘇芳「別に構わないさ、奢ってやるよ」
呂布「………何で?」
………すごく変な人
蘇芳「何でって………一目惚れかな?」
呂布「………??」
………よくわからない
蘇芳「まぁとにかくおいで、娘の話し相手にもなって欲しいからな」
そう言ってこの人は手を差しのべた
呂布「………名前」
蘇芳「ん?………ああ、言うの忘れてたな。俺の名は蘭葵、字は賢羅だ。それじゃあ行こうか」
………変な人、すごく変な人、だけど私はその変な人の手を握った
………暖かい
・
・
・
【蘇芳side】
蘇芳「待たせたな、神花」
神花「いえ………やはりその子を連れて来たんですね?」
神花は蘇芳が少女を連れて来るのを予想していたようで、微笑んでいた
蘇芳「まあな………神花、挨拶しなさい」
神花「はい、私の名は荀衍、字は友若です。宜しくお願いします」
神花は礼儀正しく挨拶をする
呂布「………呂布、奉先」
神花「呂布ちゃん?」
呂布「………恋」
神花「え?それは………」
蘇芳「真名、だろうな。いいのかい?ついさっき会った奴に真名なんて教えて」
恋「………いい」
恋はただ一言そう言った
蘇芳「なら俺も教えるべきだな。俺の真名は蘇芳だ」
神花「私の真名は神花です」
恋「…蘇芳……神花」
恋は嬉しそうに二人の真名を言う
蘇芳「さて、この先の邑に向けて出発するか」
神花「はいっ!」
恋「………(コクッ)」
セキト「わんっ!」