SS-Persona4-
□暗い瞳
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初めて会った時、この人は自分と同じだと思った。
『暗い瞳』
成績優秀、スポーツ万能。家事をこなしながらも、部活とバイトを掛け持ち。
“優等生”
周りは皆俺のことをそう呼んだ。子供より仕事を優先する両親に嫌われない為に自然と身に付いたスキル。本当はただの八方美人。皆は俺を買い被り過ぎだと思う。そんな完璧な人間なんていないのに…
初めて会ったのは死体発見現場。しかも彼がゲ■を吐いているという最悪のシチュエーション。勿論、第一印象も最悪。その時はダメ刑事ぐらいにしか思わなかった。
俺が堂島家の一員になって暫くたったある日、遼太郎さんが彼を連れて帰ってきた。
「よろしくね。」そう言って差し出された手を握り、俺は初めて彼の目を見た。びっくりしたと同時に嬉しくなった。だって彼は俺と同じ暗い瞳だったから…
それからというもの、俺は彼が気になってしょうがなかった。彼のことを知りたいと思い、出来るだけ近づくようにした。だけど、彼を知れば知るほど同じだけど全く違う人間だということを痛いほど感じた。悲しかった。だから自分に暗示をかけた。
“ヘラヘラして胡散臭いから嫌い”と。
寂しさを紛らわす為に俺は全てを受け入れるようになった。寂しさを紛らわす為に彼は全てを拒絶するようになった。ただ、それだけの違い。それが彼がいなくなってやっと分かったこと。
傷の舐め合いだと思われてもいい。今なら言える。
「好きですよ、足立さん。」
▽堂々と捏造しました。次のページはアダッチー視点になりマス。