□触れてしまえばT
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この思いに気づいたのはいつからだろう

いつも喧嘩は絶えない

それなのにあいつを愛おしいと思う



「志々尾ー!!」

いつものようにあいつが来る

「弁当食べよーぜ」

毎回俺は無言でついてく
墨村の結界で2人だけの居場所ができあがった

修史特製の弁当はやはり多い



墨村は2人で食べるのが嬉しいらしくほぼ毎日持ってきていた

もそもそと食べ始めたとき斑尾が

「きたね」

と短く呟いた

それを聞いた墨村は舌を鳴らし弁当をしまい始める

「…食ってていい」

「後で2人で食べようょ」

「俺が片づけてくるから先に食べてろ」

「俺も行く」

「だめだ」

「なんで?」

俺は喧嘩になるな、と思いながらも話を続けた

「危険な目に遭うかもしれなうんだぞ」

「俺だって毎日訓練してんだ!!」

「とりあえずお前はここにいろ」

「嫌だ」

「ここで1人で食ってろ」

「だから俺は2人で食べたいんだって!!」

気を使ったつもりが墨村の機嫌を損ねてしまったらしい

すべてをほったらかしに結界から飛び降りていった

残された俺は片づけを始めて気がついた

あいつが2人で食べたかったわけが

弁当をしまうためにリュックをあけるとそこには小さな箱が入っていた

開けなくてもわかる

少し甘い匂い

きっと墨村のお手製ケーキだろう

今日は俺の誕生日だったのだ

申し訳ない気持ちになった

俺はあいつのリュックを背負い学校の屋上に降り立つ

トサリと音を立てて荷物をおくとその場から離れ墨村を探しに行かなくては



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