BROTHERS LONG

□Mon soleil.
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椿「そういやさ、棗の為にスイカ持って来てやったんだぜ」


優しい兄貴だろなんて言いながら、玄関に転がる4つのスイカを指差す


棗「おい待て、4つ全部か?」


業とかどうか定かではないが、問いかけにつば兄は答えることなく足下にすり寄る猫達を構っていた


『なつ兄って、スイカ大好きなんだよね?』

棗「いや…嫌いじゃないが、大好きって程ではないな」

『えっ…』


ちらっとつば兄を見たけど、明らかに聞こえてないふりをしているのが見て取れる


ボクはため息をついてからスイカの経緯を説明し、このスイカをどうするか尋ねれば、会社で押し付けられる奴がいるから大丈夫だって

持ち帰るのは避けたかったから、ほんと良かった


棗「椿はそう言う奴なんだよ。そうだな…今後、なにか連絡するときはこの番号に頼む」


労いの言葉をかけてから、プロフュール画面になっている携帯を手渡してくれて、ボクはなつ兄の連絡先を登録した


棗「ウチに来る時はこれに連絡してくれ」

『また遊びに来てもいいの?』


控えめにそう言った僕に、優しい笑みを浮かべながら当たり前だろって返してくれた


もしかしたら今後、同じ家で暮らしていない兄弟だからこそ何かと頼ってしまうかもしれない

なんて、ふと思った


棗「そう言えば、風斗とはどうなんだ?同じ芸能人同士、上手くやれてるのか気になってな」

『うんっ。仲良くしてくれてるよ』

椿「仲良すぎな気もするけどなぁー」


後頭部で腕を組むつば兄は、欠伸をしながら言った


椿「ありゃ、ブラコンレベルだろ」

棗「あの風斗が…か?」

椿「あぁ。すっげぇよ」

棗「…そうなのか?」


ボクに話を振られて、うんっ!て大きな素振りで答えたかったけど…


『うーん。どうなんだろ?』


こう言うしかないよね


椿「ずりぃよな。俺だって茉矢とイチャイチャしてぇのに」

棗「お前…風斗と」

『いやいやっ!?なつ兄それは誤解だよ』


ぜっったいホモと勘違いされた


椿「風斗ともただの兄弟だって言うんならさ、俺とも今日一緒に風呂入ろうぜ」

棗「…」

『だからボクは一人で入る主義なのって…なつ兄。ほんとに違うからね』


やめてよ、その目…。

第一、風斗くんと入ったことなんてない

女ってバレちゃうじゃんか


椿「じゃあ女の子とならいいワケ?」

『…まぁ、そうだね。男と入るくらいなら』

椿「ませてんな〜。じゃあ俺、今から茉矢の姉ちゃんになる!椿姫お姉ちゃんって呼んでね☆」

『…なつ兄、たすけて』

棗「がんばれ」

『酷っ。ボク、帰りは一人で帰るよ…。なつ兄、深めに被れる帽子かストール貸して』

椿「ちょっ、なんでさ!」


玄関へ向かおうとするふりをしたボクを慌てて引き止めようとするもんだから、面白くて思わず笑みが溢れてしまった


その後、なつ兄の誤解を解きつつ、ゆったりと時間の流れるオフを満喫した



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