BROTHERS LONG

□Mon soleil.
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・・・


サンライズ・レジデンス

今日から僕の家になるマンションの名前だ


吉祥寺にマンション構えてるなんて、良いキャリアウーマンの女見つけたんじゃん

なんて思いながら、父親である麟太郎の顔を思い浮かべた


それにしても、13人も兄弟が出来るのか…

ボクは男装をして幼い頃から芸能活動をしているけど、父と事務所の社長、それにマネージャー以外の誰もがボクのことを女だなんて知らない

La luneメンバーでさえ、誰も知らないこと


例え家族であっても秘密が漏洩しない保証なんてないし、もし世間にバレたらなんて想像するだけでもおぞましい


でもボクは所詮、女性の身体付きになるまでの期間限定アイドル

その日が来るまでは、アイドル La luneの茉矢くんで居させてもらうよ










しばらくすると、乗っていたタクシーが立派なマンションの前で止まった


『ここか』


顔を隠す為に付けていたストールやサングラスを外してから、インターフォンの前に立ちベルを押す

すると、機械の中から成人男性の声が聞こえ、リビングのある階まで来るようにと、セキュリティーのかかっていた扉を開かれた

指示された階でエレベーターを降り、そっと目の前にある扉を開くと…



弥「はじめましてー!!」


元気よく出迎えてくれたのは、ボクより少し年下くらいの男の子


『はじめまして、今日からお世話になる日向茉矢です』


弥「あれっ、もしかしてテレビに出てる茉矢くんなの?」

『うん、そうだよ』

弥「すっごーい!!ねぇねぇ、京たん聞いた!?」

京「えぇ。インターフォンで貴方の姿を見たときから、まさかとは思っていましたが…」


数秒フリーズしていた彼は、はっとしたような顔をしてリビングへと案内してくれた

通された大きなソファに腰を下ろし、アールグレイのミルクティーを飲みながら朝日奈家ライフスタイルの話を淡々と聞く


京「騒がしい連中が多いですが、仲良くして頂けると嬉しいです」

『こちらこそ。不規則な生活でご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、宜しくお願いします』


軽く頭を下げれば、ふふっと小さく笑う声が聞こえた


雅「そんなに畏まらないで、もう兄弟なんだから」


笑っていたのは、雅臣さん

この家の長男らしい


京「そうですね、何かあれば遠慮なく言ってください。仕事のせいでしょうが貴方は大人びすぎています。家では年相応の態度で構わないのですよ」

『ありがとうございます』

要「そのお固い敬語も止めたらどう?」

『あ、はいっ。じゃなくて…うん』


ちょっと照れ気味に俯いて言えば、要さんに頭を撫でられた


要「かわいいねー。お兄さんびっくりしちゃったよ、男にしておくのが勿体ないくらいだ」

『どういう意味ですかっ』

要「そのまんまの意味。次オレに敬語使ったら、ちゅーしちゃうよ」


なんだか冗談に聞こえなくて、血の気が引いた


『気をつけ…る』


するとガチャッとリビングの扉が開き、2人の似た顔の男が入ってきて銀髪の方が僕に突進してきた


椿「やべー!!君、La luneの茉矢だよね!?」

『あ、はいっ』


なんだ なんだ


椿「今、うちに君が入っていくところが見えてさー!まさかとは思ったんだけど、新しく弟になるのって茉矢なの?」

『はいっ、宜しくお願いします』


急なことにももちろん対応できるアイドルスマイルで答えれば、目を輝かせて興奮気味に言葉を続けだす彼


椿「すっげぇええ!!ちょ、今度さ俺の部屋で妹は魔法少女のコスプ(梓「椿、それ以上の発言は控えた方がいいよ」


それから自己紹介をされて分かったことは、椿さんの言葉を遮ったのは双子の弟の梓さん

職業は声優で、アニメが好きってことも分かったんだけど…

一番の驚きは、どうやらボクは深夜にやってる大人気アニメのキャラクターにそっくりらしく、密かにオタクの中で人気を集めていたらしい


…今後とも、それ関連の仕事がきませんように


琉「あれっ、茉矢くん?」

『琉生さん!!』

雅「知り合い?」

琉「うん。仕事で茉矢くんの髪をセットしたり…するんだ」

『琉生さんも僕のお兄さんになるなんて、嬉しいです!』

琉「僕もだよ、よろしくね」


朝日奈家は人が多いからか、次から次ぎへと部屋に人が出入りすることに驚く


侑「あ…おめぇは」

祈「あぁ、テレビでよく出てる子だね」

昴「芸能人…か」

『初めまして!日向茉矢です』


にこっと笑顔を向けて、一礼すれば


侑「あ、あぁ」

祈「へぇ。雰囲気が少し風斗と似てるね」


風斗…?


雅「さっ、何はともあれこれで残るは3人か…。まぁ、なかなか会えない3人だから、いづれ紹介するね」



その後

夕方から入っている仕事の時間まで、随時僕の部屋に出入りする兄弟達と親睦を深めながら多くはない荷物を片付け、マネージャーの迎えで朝日奈家を後にした



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