BROTHERS LONG

□Mon soleil.
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風「ねぇ、いまのホント?」


唇をやっと解放してくれた彼は、ボクに恍惚とした表情でそう問いかけた

答えを求める様にじっと瞳を見つめられ、目を反らせないボクは頭の中がオーバーヒートしそうになって…



恥ずかしいからもうダメっ!!

僕はそう叫ぶ様に教室から駆け出した





風「あー、逃げられちゃった。でも、すぐに捕まえてあげる」






・・・


それから数日後


あの一件があってから、ボクは風斗くんと顔を合わせていない

別に避けてる訳じゃなくて、お互いの仕事が忙しくてなかなか会う時間がないだけ

いつもの様に風斗くんからメールも入るし、なにも変わったことはないんだけど…


『なんかポカーンってする。隙間が出来た感じ?』

「なになにっ、好きな子でも出来た?」


La luneメンバーと他愛のない会話

ボクらは収録が終わって、所属事務所に車で移動している途中だ


『そんなんじゃないよ』

「茉矢もそんなお年頃かー」

『だからちがうって』

「La lune結成の時なんて、まだ小学生だったもんな!」

「ランドセルしょって会場に来た時は、なんかの罰ゲームかと思ったぜ」

「懐かしいな。あの時は、まさかこんなに人気出るグループになるなんて思いもしなかった」


懐かしいって、そんな昔の話でもないと思うんだけど…

なんて思いながら、窓から外の景色を眺める


「もし恋のことで分からないことがあったら、La luneのお兄さん達に相談するんだぞ!」


楽しそうだね、おじさん達。って言ったら、頭をぐしゃぐしゃにされた…

アイドルには珍しいけど、本当にこのグループって仲が良い



「そういや最近、すっげぇまるくなったよな」

「あぁ、茉矢な!俺もそう思ってた」

『えっ…太った?』


そっちじゃないって、ツッこまれた

じゃあ、なんなんだ



「性格がだよ。温厚になったっつーか」

「少し前までは腹黒さ全開だったもんな!」

ちょっとっっ


「腹黒っていうか、自他共にすっげぇ評価が厳しかった」

「そーそれ!基本どこでも営業モードだけど、俺らの前では何に対しても辛口。この年で的を付いてる分、怖かったなー」

『みんなが甘いだけだよ』

「おっ!久しぶりに出ました。茉矢の辛口コメント」


はぁって溜め息をつくと、窓ガラス越しに見慣れた文字が通り過ぎた


『マネージャー!止めて!!』

ボクの声に驚いたマネージャーは車を急いで道路脇に止め、どうしたのかと振り返った


『今日の仕事はもうないよね?なら、ボク歩いて事務所行くから!』

マネ「えっ!ちょっと!!」


有無を言わせずボクは車を降りた



「おおっ、すっげぇな」

「アイツ将来大物になるぜ」

「今でも充分大物だけどなー」


そんな茉矢のお陰で、結成当初は俺らもこんなガキに指摘されてたまるかって頑張って、Laluneはここまで人気出たんだよなぁ

抜かりないっつーか、努力家っつーか


ほんと、アイツすっげぇよ


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