BROTHERS LONG

□Mon soleil.
1ページ/4ページ


『こう言うこと…ね』

風「そーゆうこと」


12時程拘束されていた機内からようやく解放されて、異国の地に到着したボク

だけど、そこには居るはずのない人物が待っていたんだ


風「よろしくね、先輩っ」

『あ…よろしくお願いします』


悪戯っぽく笑う彼は、なんだかとても楽しそう

最近は風斗くんの微妙な表情の変化にも気がつくようになってきて、やっと僕にも兄弟の感覚が出て来たのかなぁ…なんて

『知ってたなら、どうして教えてくれなかったの?』


海外ロケの日程はマネージャーから聞いていたんだけど、特番の収録ということだけで詳細までは把握していなかった

というか、メールで来てたんだけど最近バタバタしててボクが見れてなかっただけなんだけどね


風「茉矢を驚かせたかったからかな」


ウインク付きでそう言う彼の姿を、物珍しげな顔で見るfortteのみなさん

そうだよね、仕事以外でこんな楽しそうな風斗くんまず見れないよね


『風斗くんのいじわるっ。でも、風斗くんが一緒なら心強いね』


海外ロケは何かと気を張るからって付け加えれば、そうだねって優しく頭を撫でてくれた


瑛「ほらっ。2人とも、そろそろ移動するぞ」


fortteのリーダーである赤星さん

今のやり取りを微笑ましい表情で見ていた彼は、迎えに来たロケバスへボクらを促した



・・・



瑛「なぁ、茉矢くん。家での風斗ってどんな感じなんだ?」


先日、ボクと風斗くんが家族になった事は各々のメンバー
にだけ明かすことにして

かなり驚かれたけど、それもあってかグループ同士の距離が一気に縮まった


『んーっ、基本的に優しいですよ。でも、少し寂しがりやなのかなぁなんて』

瑛「あの風斗がか?」

『えぇ。仕事が終わって家に帰って来る時は、まず自分の部屋よりも先に僕の部屋に来ますし、この間なんて一緒に寝よ(風「はーい、そこまで」


遮られるボクらの会話


風「僕と茉矢のプライベートは、二人だけのヒミツだよ」

『…だそうです』

瑛「ははっ。まぁ仲が良いことが分かって良かったよ」


兄弟にしては過剰すぎるかと…

まっ、馴れてきたから構わないけどね


風「さっ、そろそろ着くみたいだ」


ホテルに荷物を置く前に、番組のオープニング収録だけ済ませたいらしく一度バスを降りた

売れっ子を集めただけあって、キツめのスケジュールだけれど頑張らなきゃ




・・・

『La luneとfortteの夏休み特別企画!!イタリアシャッフル旅行!!』

「「「いえぃーいい」」」

パチパチパチ


出だしはカメラがボクのズームイン状態で企画名を言い、引きでみんなが拍手をしながら写るというよくあるパターン

移動中のバスでこのMCを暗記したのだけれど、そこで初めて企画内容を把握して色々と驚くばかりだった


『この企画ではLa luneとfortteのメンバーをミックスで2〜3人1チームに分け、各々イタリアロケをしてもらう企画です!』

「夜泊まるホテルはどうなるの?」

『もちろんペアになった相手と、二人で一室に泊まってもらいます』

「ベットはいくつ?」

『…一つがいいですか?』


メンバーの引きつった顔と、スタッフの笑い声で場が和む

ちなみにロケで紹介する場所や店舗は、番組がチーム分用意しているから心配する必要はない

飽くまで、ボクらは自然にそのルートを向かっているふりが出来ればOK


『最後にどのチームが1番良かったかを視聴者投票して頂き、優勝したチームには豪華賞品が贈呈されます』

「どんな賞品〜?」

『…知りたいですか?』

「えっ…」


ボクの妙なニュアンスでまた笑いが起こる

放送時間は4時間という膨大な枠を抑えているので、視聴者を飽きさせない為にも多くの使える場面を作らないといけない


『では、さっそくですが企画の運命を変えるクジ引きを行います!!』

「ドキドキしますね」


ボクのかけ声で、クジの入った箱が運ばれてきた



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ