BROTHERS LONG

□Mon soleil.
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あれから数週間後

朝日奈家にもだいぶ馴染めた気がする


・・・


椿「茉矢〜!お兄ちゃんとお風呂入ろうぜ」

『やだっ』

梓「即答だね」

椿「なんで嫌なんだよー」

『ボク、お風呂は一人で入る主義だから』

椿「なんだよそれー!男同士裸の付き合いってあんだろ」

『むさ苦しいじゃん』


梓「…あぁ、いじけちゃった」

ソファで体育座りをするつば兄を他所に、ボクはリビングで次のドラマの台本を目に通す

そっけなく見えるかもしれないけど、兄弟達とはかなり仲良くなれたし

この日常を結構気に入ってたりする


ボクが仕事関係以外の人とオフを過ごす人なんて殆どなかったから、新鮮さ故…なのかな



風「なぁーに読んでんの?」


ソファーの後ろから誰かに抱きつかれ、またかと思いながら振り返れば

やっぱり予想通りで


『風斗くん?』


首を傾げて言えば、抱きしめられた


風「ねぇ、それ狙ってやってんの?」

『だったらどうする?』


挑発するかの様に言えば、にやっと笑みをこぼす風くん


風「尚更、茉矢のことが気に入っちゃうかな」

『ふーん。まっ、素でやったけど』

風「そーゆーこと言うんだ」


今度は首筋にふっと息を吹きかけられて、流石にビクッと身体を震わせてしまった

ほんと、距離の縮まり方に驚いているどころの話じゃなくて、ブラコンなのかと最近疑問に思う

でも、このブラコンっぷりはボクに対してだけみたいで

最初はボクの立場に取り入ろうとしてるのかなんて思ったりしたけど、どうやらそう言う訳でもないらしく…

なんだか調子狂うんだよなぁ


要「こーら。リビングでいちゃつかないの」

風「何だよ、アンタには関係ないだろ」

要「此処は共用スペース。でも、ふうちゃんがこんなにもまやちゃんを可愛がるだなんて意外だったなぁ」

風「ふんっ。茉矢は特別なんだよ」

要「恋の病にでもかかっちゃった?」

風「はーっ、バカらしい。僕部屋に戻るから」


バタンっと業と音を立てるように扉を閉め、風斗くんはリビングを後にした



要「…茉矢ちゃん。俺の勘違いだったらいいんだけど、嘘って言うのは時に人を深く傷付けるから…大切な人に対しての嘘には、特に気をつけて」

『急にどうしたの?』

要「いや、なんとなくね。さてっ、俺も今日は早めに休もうかな」


くしゃっと僕の頭を撫でて、かな兄もリビングを後にした


それにしても、嘘って…いや、まさかね

気づかれてる訳ない



『ふぁぁ』

梓「ふふ。茉矢も眠い?」

『うーん、微妙』


あず兄に体重を預けるように寄りかかれば、テレビから聞き慣れた声が聞こえる


<こんばんはー!La luneでーす!!>


弥「あー!まやちゃんだ!!」


先週撮ったやつ…

今日オンエアだったんだ


目をキラキラとさせて、テレビにかじりつく弥くんは本当に可愛い

大して年は変わらないけれども、やっぱりボクの弟って立場である以上そう思ってしまう

あぁ、もしかして風斗くんもボクに対してそうなのかな


弥「テレビのまやちゃんって、いっつもニコニコだね!楽しそう!!」

『うん、楽しいよ』


てゆうか、ボクに仕事以外での楽しみなんてない

家にいたって麟太郎は基本的に留守だったし、幼い頃から仕事をしているが故に友人なんて皆無

いつしか、ボクにとっての遊びは仕事になっていた。


仕事は一度軌道に乗ってしまえば、頑張れば頑張っただけ成果に繋がり世間が評価してくれる

いつしか、それがボクの遊びになっていた


面白いんだ。努力の結果が目に見えてくることって



最近は、朝日奈家に来てから大きく環境が変わって、ボクにも仕事以外の楽しみが出来るのかなぁ。なんて…

最近、少し期待をしている自分がいる



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