名探偵コナンT


□嫉妬+感謝=?
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結局、キッドは宝石を蘭の指に残して去っていった。
にしても、キッドの奴…蘭と2人で何してたんだ?…気になる。


「蘭ねえちゃん、キッドに何かされなかった?ねえっ」

「別に何もないよっ!ないないっ」


蘭の様子はあきらかにおかしい。…―――


コナンは小声でこうつぶやいた。

「ったくキッド…何したんだよ…。」



すると、コナンの携帯電話が鳴った。見ると、ディスプレイには非通知と書かれていた。

「非通知?誰だ?………もしもし。」


「よお名探偵♪」


「……キッド!!」


コナンの声に、蘭が振り向いた。

「え?キッド?」


コナンは蘭に、「違う違う」と否定をしてから、小声で、電話に戻る。


「おい、オメー…なんでオレのケータイ番号知ってんだよ。」


「そんなの簡単さっ。あの美しいお嬢さんに聴いたんだよ。」


「それって……蘭のことか?」


思わず声を荒げるコナンに、キッドはフッと笑みを零して、「御名答」と言った。


「おいっ、オメー蘭に何しやがった!?」


「名探偵も、あのコのことになると我を忘れんだなっ(笑)」


「キッドてめぇっ…。あれから蘭の様子が変なんだよ…」


「それはそれはっ…。待てども待てども姿を現してくれない高校生探偵に愛想をつかして、この怪盗キッドに惚れてしまったんじゃないですか?小さな探偵くん♪」


「てめぇ〜…」


「ああ、彼女、いいコだな」


「あ?」


「いやー…実はあのコにオレの変装を見破られちまってなぁ、中森警部も来るし…絶対絶命の状況で、オレがとっさに…」


「とっさに?」


「変装を解いて、怪盗キッドは、工藤新一が訳あってやっている。怪盗キッドの正体は工藤新一だって言っちまってなっ。」


「……なっにぃ!?」


「悪い悪い(笑)それを謝ろうと思ってな。」


「謝るも何もっ!誤解は取らねーと!」


「多分大丈夫じゃねぇか?でな、怪盗キッドの正体がオメーだって知ったあのコは、あのコなりに考えて…オレに何て言ったと思う?」


「…何て言ったんだ?教えろっ。」


電話越しでもわかる。不敵な笑みを浮かべ、フッと息を吐くと…キッドは言う。


「自首して、新一…。泥棒はよくない、だってさ。工藤新一が怪盗キッドだってわかっても、自首しろって言うなんて…いやあービックリだなっ。」


「そっか…。まぁ…あいつはそーゆー奴だ。」


コナンは蘭を見つめてそうつぶやくと、息を吐いた。


「おいどうした?」


「いや、……。…オレは会いにいってもやれねーし、何にもできねぇなって思ってさっ」


「んなことはねぇだろ。それより…あのコ、オレに惚れちゃってたりしてなっ」


「なっ!、どういう意味だ!!」


「自首してって言われた怪盗キッドこと、工藤新一は、するかわりにあのコの唇をもらうとしたってわけだ。」


「……くち…び…る?!!?おいキッドっ!!オメーッふざけんなよっ!!」


「おいおいっ、んなに怒るなよっ」


「オメーっ…。……したのか?」


「ん?」


「オレとして、工藤新一として蘭としたのかって聞いてんだっ!!」


電話で怒鳴るコナンを、蘭は心配そうに見つめる。


「どうしたの?コナンくん。それに今、蘭って言った…?」


「なっ…なんでもないよ!!」


そしてコナンは再び声のトーンを落とす。


「どうなんだよっ!!キッド!!」


「そこにあのコも一緒にいるのか?なら本人に聞いてみたらどうだ?」


「あのなぁ、聞けるわけねーだろ?それに…それに……」


(仮にキッド(新一)の言うことを信じて、自首をさせるために…言うことを聞いて……してたとしたらっ……だとしたらあいつに何て言ったらいいんだっ!!)


そんなことを考えていると、コナンは電話越しに笑い声を聞いた。


「何がおかしい!!」


「いやあー悪い悪い(笑)。オメーがこんなに慌てるのは見たことねーからなあ、つい。」


「つい。じゃね〜よぉっ!!」


「ま〜安心しろっ。オメーの怖れてることはしてねーよ。」


「…本当か?」


「ああ。あのコも、オレが工藤新一じゃないって気がついたしな♪」


「そっか…良かった……」



コナンが安心して胸をなで下ろしたのもつかの間。


「まっ、怪盗キッドのオレにあのコが惚れなかったかどうかまでは、保証できねーけどなっ。てことで、じゃーな名探偵っ。またいつか、淡い月下のもとでお会いしましょう」

キッドはそう言うと、電話を切った。



「おい!!それどーゆー意味だよっ!!くそっ切りやがったっ…!」


コナンもため息を吐きながら携帯電話を閉じる。……と、知らないアドレスからメールが届いていた。


「ん?差出人不明?」


メールを開くと、中には…。


『探偵は推理が専門だろうが、泥棒から盗まれないように守るのも仕事の内だろ?
ちゃんと、あのコの心を捕まえとけよな。名探偵。』



「あいつ………」


コナンは苦笑すると、電話を閉じ、蘭の方に歩み寄った。


「蘭ねぇちゃん、」


「なあに?」


「あのさ、蘭ねぇちゃん。新一にいちゃん、なかなか会いにはこれないけど…待っててほしいって。ずっと待たせてて本当に蘭には悪いと思ってる。だけど…待ってて欲しいって言ってた。だからね、だから……―――」

待ってて欲しい。
キッドなんかに惚れないで欲しい。
他の誰より、オレだけを見ていてほしい…――――


「だから…――」



すると蘭は、ふわっと微笑むと…優しく言った。


「大丈夫!待ってるって約束したんだもん、ずーっと待ってるよ♪って、新一に言っといてくれる?待ちながらもし私が死んじゃったら…化けて出てやるんだから。」


笑いながらそう言う蘭に、コナンもほっとしたように笑って。


「じゃあ、伝えとくね。蘭ねぇちゃん。」


「うん////……あっ!!!」


「え!?」


突然蘭が声をあげ、コナンの顔を指差した。


「コナンくん…、それ…!」


「それ?…え、何?」


すると蘭は慌てるように言う。

「何でもない何でもない!言わなかったらコナンくんも気がつかないもんね…」


「何のこと?」


「本当に何でもないわよっ。あ、さっきお父さんが呼んでたから向こう行ってみるね。」


蘭は逃げるようにその場を去って、後にはキョトンとした顔のコナンが残された。



「何だったんだ?オレの顔に何かついて…た?」



その時、
コナンはどこからか、確かにキッドの笑い声を聞いた。









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