異界の虹色。

□【虹色】眩しいです【銀色】2
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「なんだかだんだん、主導権変わりやすくなってますよね。書き込み中に入れ替わるのは勘弁してくださいよーもー」



 デスクの上、カタカタとパソコンのキーを叩く音が部屋に響く。


 その部屋は整頓されながらも大量の本が積み上げられていて、人影は女性のものが1つだけ。

 ちなみに、見る人が見れば、本のほとんどは“ライトノベル”と呼ばれる類であることに気付いただろう。



『も、申し訳ございません。あまり自覚はないのですが、つい』


「まあ、ついに殿って付けてもちゃんとコテハンで呼びかけている辺り、根本は意外に冷静っぽいですけど」



 もう一度言う。


 部屋にある影は、パソコンを叩く女性の1つだけ。


 しかし女性は、物音と自分の声以外にも、声を聞いていた。






「特に何かするって訳じゃないようですから構いませんけど、スレで暴走するようなことはやめてくださいね」


『重々承知しております。こうして、文字と目の辺りを隠された画像だけとはいえ、メリヒム殿にまた会えただけ僥倖ですから』





 女性にしか聞こえない声は、断言している割には終始、声の主の臆病さを伺わせるような声だった。
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