海が導く

□act.90
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揺るぎない足取りで、真っ直ぐ突き進む。
行く先を阻もうとする海兵が永久へ攻撃が
を仕掛けてくるが、海の守りにより致命傷は避けられていた。
しかし、それは致命傷のみであり、


『ッ!!』


完全に攻撃を防げている訳ではなかったのだ。
その為、少しずつではあるが永久の体に傷をつけていた。


「海巫女に攻撃が効かない化け物ではない!!何をしてでも処刑台に近付けるな!!!」


私を近付けるなという指示が飛び交う。
轟く銃声、
弟を助ける事の何がいけないの?


『どうして……止めるの?』


どうして、邪魔をするの?


『どうして?』


ピシリ、ピシリと何かに亀裂が入る音が聞こえる。
それと共に永久の様子が何か、可笑しくなっていた。


『何をしたと言うの?』


ピシッと今までで一番大きな亀裂が入る音と共に、永久は永久でなくなった。


『〔お前達は、何時の時代も…〕』


理不尽な正義を振り翳しているのか。とまるで永久ではない誰かが話しているような雰囲気があった。


『〔何百年ぶりかの、……世に出たのは〕』


眉間にシワを寄せたまま、現状を確認するべくを見回す。


『〔まあ、妾が出れるのもこの者が持つ力にコレが耐えきれなかった所為だろうな〕』


これ程脆くなっておれば、もう持たんな。そう言うと共に手に着けていたバングルがパキンッと砕け散った。


「何なんだ、お前は!!!」
『〔妾は、海と繋がりし者の起源だ。ただし、今の妾はただの記憶じゃがな〕』


海巫女に継がれていくな。と不敵に笑う。


『〔この娘とちと波長が合ったから、出て来ただけじゃが…まあ、おっかない事をしておるな〕』


ニヤリと笑いそう言うと、紋様のある右手ではなく左手を上へ上げた。


『〔せっかくじゃ、消える前にこの娘の為に手を貸してやろう。海賊共〕』


永久の周りを海水の球体が幾つも囲うように浮かび上がった。


『〔弾けよ〕』


言葉の通り球体は弾ける。それも、まるで弾丸のように。
しかも、それは海軍にのみ命中し、打ち倒していく。
その数、数十人はいっただろう。


『〔まあ、こんなもんじゃな…そろそろ時間切れのようだのう〕』


それに、終いのようだしのう。と見つめた先には、ボロボロになり歩く事すら儘ならない状態であった筈のルフィが居た。


『〔さらばじゃ、愛しい海の子らよ〕』


大きな声で言った訳では無いのに、まるで波紋のように広がり遠くまで響き渡る。


そして、


『あ、れ?私……!!』


意識は永久へと戻った。


どうしてか記憶が途切れている事に違和感を覚えながら、処刑台を見ると今にも処刑を執行しようとしている場面であった。


『いやぁあっ!!エース!!!!』


止めようと駆け出すが、間に合わない事は目に見えて分かっていた。
それでも、手を伸ばさずにはいられなかった。


「やめろォーーーーーー!!!!」


ルフィの叫び声は、突風が吹き抜けるように辺りに広がり、処刑台に居た執行人は突然気絶した。



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