海が導く

□act.89
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『ルフィの元に連れて行って』


エースの元へではなく、ルフィの元へ永久は向かいだした。
何故なら、この場で再会した時に傷だらけであった事を思い出したからだ。


『!?ルフィッ!!!』


ルフィの元にようやく辿り着く事が出来たと思えば、より一層傷だらけになっていた。


「ハア…ハア…」
『ルフィ!!!』
「来んな…って言ったろ!……永久!!!」


ギロッと睨み付けてくるが永久は気にした様子は無く、真っ直ぐルフィの目を見つめる。
そして、白ひげにしたように右手を翳した。
紋様は光出し、ルフィへと光が降り注がれる。


「お前さん、その力は!?」
『静かに…ッ!!』
「何…してんだ、ハア…ハア……永久…!?」


何をされているのか分からないルフィは、永久の手を握る。


「ヴァナータの傷を癒してっチャブル!!海巫女ってのは、唯一海の力を引き出す事が出来る人間よ!!」


ただし、その力を使うには代償があると聞くチャブル。と続ける。


「な!!止めろ、永久!!!」
『止め、ない…から!!こんなに、ボロボロなルフィ…を、放っておける訳ない……!!』


どうして貴方達兄弟は、こんなに無茶をするの。と言った永久だったが、誰よりも一番無茶をしていたのは永久自身であった。


『…ぁ……ッ』


突然視界がブレ、永久の体はフラリと前のめりに倒れそうになったところをジンベエに支えられる。


「どうした、永久!?」
「力の使い過ぎじゃ。この力を使えば使う程、体力の消費が激しいんじゃ」


ミズキさんもよくやっとった。とバラしてきた。


「オレの為にそんな無茶すんなよ!!!」
『無茶してるのは、私だけじゃないでしょ!!ルフィもエースも無茶ばっかりして、こんなにもボロボロになってる!!!』


私は貴方達二人の姉何だから、貴方達の為に無茶をさせてよ。
心配ぐらいさせてよ。


辛そうな今にも泣いてしまいそうな表情でルフィへと言葉を紡ぐ。


「このお嬢さんの言う事も一理あるわね」


だけど、関係ないんでしょうね。と言われてしまう。


「頼みがあるっ!!!」





ーーーー…

止める間もなく、永久の元から遠く離れて行ってしまったルフィを見つめた後イワンコフとジンベエに言い放った。


『どうして、行かせたの!!?』
「姉であるお前さんが止められんかったルフィ君を、ワシらがどう止めろと言うんじゃ」
『っ!!』


言い返す言葉は見付からなかった。


「今は、麦わらボーイの好きにさせるべき。それに、ヴァナタの力で少しは回復出来たんでしょ?」
『……そうだといいんだけど』


永久は不安そうに、随分先へと行って見えなくなってしまったルフィを思う。


『ルフィの体は見た目以上に、もう限界を越えているようだったから』
「「!!」」
『きっと私の力では、ルフィの体を少し動けるようにするのが精一杯だった筈だから』


ボロボロな体を動かしているのは、ルフィがエースを助けたいという意志の強さからだと。悲しげな眼差しで永久は伝える。



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