海が導く

□act.86
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『私、……エースとルフィの姉です。若輩者ですが、私もエースを助ける手助けをさせていただきます!!!』


そう、叫ぶように言った永久の言葉に静寂が訪れた。
たった二人を除いては。


「エースを助けるのは、オレだ!!」
「グラララララ…生意気な小娘が…」


そう、ルフィと白ひげを除いてはだ。


『勿論、私のような非力な者が二人の邪魔をするつもりはありません。ただ……大切な弟を救いたいだけ』


だから、二人に私の力強を貸したい。
永久は真っ直ぐ二人を見つめた後、エースへて向く。


『弟を死なせたり何て、絶対にしない!!』
「グラララ、面白ぇ小娘だ」


思う存分永久の発言に笑った後、白ひげはルフィへと的を変える。


「小僧、お前も兄貴を助けに来たのか」
「そうだ!!」
「相手が誰だか分かってんだろうな。おめェごときじゃ命はねぇぞ!!」
「うるせェ!!!お前がそんな事決めんな!!!オレは知ってんだぞ。お前、海賊王になりてェんだろ!!“海賊王”になるのはオレだ!!!」


こんな場所で、しかも四皇として名高き“白ひげ”にルフィは啖呵を切ったのだ。


「……クソ生意気な…足引っ張りやがったら、承知しねェぞハナッタレ!!!」


「オレはオレのやりてェ様にやる!!!エースはオレが助ける!!!」


そして、白ひげに張り合いだした事に、聞いている者は度肝を抜かれる。


「エースの処刑時刻が早まる!?確かに、そう言ったのか!?」
「何かの準備が出来てからって言ってたけど、他は暗号でよく分からなかった。エースを助けてェのは同じだから、それだけ教えといてやる!!」
「そうか…それは大事な事を聞いた。すまねェな…!!」
「いいんだ。気にすんな!!」


対等に話すルフィに周りは真っ青だ。


「永久はここに居ろよ。エースはオレが助けてくるからよ!……エース、今行くぞ」
『待っ…ルフィ!!』


止めようとしたのだが、「だあああああああ」と雄叫びを上げ、自信あり気に向かって行ってしまう。


『どうしよう…』
「お前は、行かねェのか」
『行きたいです。でも、私には…』


力が無い。
ルフィのような、周りに立ち向かって行く力が。


「ミズキから受け継いだんじゃねェのか…“海巫女”の力を」
『え……?』
「凍っていようが、ここは海の上だ。……海の全てがお前の味方だ」


何も出来ねえ小娘じゃねェだろ。と摘まみ上げられる。


「行って来い」


そして、船の上から放り出された。



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