海が導く

□act.81
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「船に戻ったら、船長にちゃんと謝れよ」
『うん…分かってる』
「別に船長は怒ってる訳じゃない。心配してるだけだ」


それだけは、念頭に置いとけよ。とペンギンに言われる。


「そろそろ外だ。永久はユアとカイトと一緒に居ろ」
『分かった』


然う斯うしているうちに、会場の外へと出た。


「あーあー、暴れちゃって船長…」
「スゲー、有様だな。こりゃ」
『これ、全部あの三人がしたの』


最初に目にしたモノは、武器や鉄クズなどの山と無残な姿の海軍であった。


「准将殿!!全員出て来た模様です!!」
「逃げる気だ。ナメられるな、小僧共に!!!」


援軍はまだ来る。
能力者に通用しない迫撃砲は能力者以外を狙え。


海軍には既に、作戦などなくなってしまったようだ。


「ここからは、大乱闘だな」
『え?』


隣に居るカイトからポツリと言われ、永久は不思議そうにそちらを見た。


「お前は気にすんな。それより、逃げる準備しとけよ」


そう言うと、カイトはユアを抱き上げた。


「後、コレ…誰も居ない所で見ろよ」


いいな。とカイトは1枚の紙を永久へと手渡した。


『……分かった』


それを受け取ると、言われた通り見ないようにポケットへと仕舞った。


「トラファルガー・ロー、さっきはよくも同胞を!!!」
「ベポ!」
「アイアイ、キャプテン!!」


向かって来た海兵をベポに任せると、ローは背を向ける。


「アレ!!キャプテン戻るの!?」


海兵をベポに任せたまま、真っ直ぐローは永久の方へと向かって来る。


「目を放すと何を仕出かすか分からねえからな」
『え!?あ、ちょっと!!?』


ガシッ、と手を強く握ると引き摺るように引く。
辿り着いた先には、首輪をされた大男の元。
何をするのだろう?と見ていると、あっと言う間に首輪を取り外した。


「オレと来るか?海賊キャプテンジャンバール」
「そう、呼ばれるのは久しぶりだ」


二人に向かって来る海兵をジャンバールは振り払う。


「天竜人から解放されるなら、喜んでお前の部下になろう!!!」
「半分は、“麦わら屋”に感謝しな」


こんな大変な時に仲間への勧誘をしていたようだ。
何でこんな時に、と呆れていた時だった。


「永久―ッ!!」
『え、ルフィ!』
「新世界でまた会おう!」


じゃあな!と言って、ルフィは仲間と一緒に逃げて行った。
その背中を見えなくなるまで見ていたかったが、この状況ではそういう訳にもいかなかった。
そう、寂しい気持ちでいた時だった。


『きゃあッ!!』


いきなり担ぎ上げられた。


「行くぞ」
「「了解、船長」」
「アイアイ、キャプテン」


そして、何も説明されないままローはみんなを引き連れ走り出す。


『ちょっと、ロー!?降ろしてッ!!』
「船に戻ったら降ろしてやる。それまで、黙ってろ」


暴れて降ろしてもらおうとしたが、今そんな事をして迷惑を掛ける訳にはいかなかった。



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