海が導く

□act.71
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「オレと一緒に………リストランテを潰してくれないか?」


とんでもない事を持ち掛けてきたカイトに対し、


「いいぜ、手伝ってやる」


ローは悩む事無く、一つ返事でそれを引き受けたのだ。


『そんな簡単に引き受けてもいいの?』
「簡単に引き受ける訳ないだろ。この件に手を貸す条件があるに決まってるだろ」


どうする?とカイトへ尋ねるローは、海賊という名が相応しい程の悪どい顔をして笑った。


「分かった。どんな条件でも、オレはその条件を飲む」
「良い心掛けだ。なら、全てが片付いた後西にある岬へ来い。条件はその時に伝える」
『それでいいの、カイト君』


運命が変わっちゃうかもしれないんだよ。と説得しようとするが、「大丈夫」と返されてしまう。


「オレは、お前を信じてるからな。トラファルガー・ロー」


ニヤリと笑うカイトに、ローもニヤリと笑い返した。


「ああ。後悔はさせねえ」


どうやら、もう後には引けないようだ。


二人が意味有り気に笑い合っていた時だった。
プルプルプル、プルプルプルとペンギンから渡されていた子電伝虫が鳴り出した。
二人が話している邪魔をするのもあれだし、と永久は後ろを向き少し離れた場所で出た。


『もしもし、ペンギン?』
「永久か?すまんが、船長と変わってくれ」
『うん、分かった。ちょっと待ってね』


ペンギンに待ってもらい振り向くと、二人は作成会議を始めていた。
話し掛け難いが、この場は仕方ないと遠慮がちにローの服の裾をキュッと掴んだ。


『ロー、ちょっといい?』
「どうした」
『ペンギンから連絡。何かあったみたい』


はい、と永久はローに子電伝虫を渡した。


「何かあったのか、ペンギン」
「船長、この島面倒な奴らが潜伏してました」
「名は」


相手の名をとペンギンが伝えようとした途端、ドカンッと入口が吹き飛んだ。


『きゃっ!!』


突然の爆発に永久は驚きの声を上げた。


「チッ、面倒な事になりやがった」
「全くだぜ」


爆風と飛んでくる破片から守るように二人は永久の前に立つ。


「悪いんだけどさぁー」
「こっから、立ち退いてもらうぜ」
「イヤって言っても、問答無用だからさぁ」



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