海が導く

□act.61
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「オレは何て言った?」
『側から離れるなって言われました』
「なら、どうして離れたりした」


無言で船まで連れ戻され、問答無用でローの部屋へ連行された。
そして、そこで待っていたのは、ローからの長い質問攻めであった。


『ちょっと余所見をしたらみんな居なくて。離れるなって言われてたから、その事に動揺して冷静さが欠けてて逸れた場所から動いてしまって…』
「その場所も分からなくなったのか」
『…ごめんなさい』


自分の所為で、みんなに迷惑を掛けた事。
せっかくの買い物もダメにしてしまった事。
謝っても謝りきれない程である。


「はあ…」
『ごめんなさい!もう買い物に行きたいって言わないから…だから、』
「無事で良かった」


ホッとした様子でローは永久を抱き締めた。


『ごめんなさい、ロー』


もう一度謝ると、ローの背に腕を回した。
こんなに心配させてしまうなら、二度とこの人の側を離れないでおこう。


『二度と、ローから離れたりしないから。約束するから』
「破るなよ」
『破らないわ』


しかし、その約束は遠くない未来で破ってしまう事になる。
しばらく抱き合った後、ローから「話がある」と言われた。


『何かあったの?』
「ああ…話す前に、これに目を通せ」


渡されたモノは今日付けの新聞であった。
どういう事なのだろうか?とローの表情を窺ってみるが、いいから見ろとこちらに視線を向けるだけである。
良く分からないまま開くと、中から2枚の手配書が出てきた。


『ローと……私?』


自身の手配書についこの前の出来事が脳裏を掠める。
新聞には、こう書かれていた。





“前海巫女・ミズキの後継者が現れた。

海軍は彼女に対し前代未聞のONLYALIVE、懸賞金はUNLIMITEDと設定するなど前代未聞の事ばかりである。
海軍曰く、彼女は保護対象てある為と述べている。

現在、彼女はハートの海賊団に囚われの身であり、彼女を救う為海軍は総力で当たると述べている。”




自身の記事の下には、今回ローの懸賞金を吊り上げた訳の記事が記されていた。



“ハートの海賊団船長“死の外科医”トラファルガー・ロー。
海軍との数多の抗争、一般人誘拐などの被害から懸賞金が億へと吊り上がったばかりであった。

しかし、今回の海巫女を自身の船に監禁していたなどの卑劣な行いから再び懸賞金を上げる事にしたようだ。”




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