海が導く

□act.59
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ペンギンの報告から数十分後、島に着いたようだ。


『ロー』
「ダメだ」


ただ、名前を呼んだだけで即答で却下されてしまう。


『いいでしょ?』
「何度も言わせるな。ダメだ」
『ケチ』


島に着き、偵察に向かったクルー達も帰って来た。
海軍の駐屯基地もない、他の海賊も来ていない、平和な島らしい。
ならば、と一人で買い物に出掛けたいと申し出たのだが、ローからはダメの一点張りをもらう羽目になった。


『どうしても、ダメ?』
「ダメだ。オレ達と行く事に何の不満がある」
『不満は無いけど、偶には一人で出掛けたい時もあるよ』


互いに折れる事はなく、しばらく言い争いは続いたが、


『分かった。ロー達と一緒に出掛ける』


最終的に永久が折れて、ロー達と一緒に出掛ける事になった。





――――…


「いいか、兎に角オレ達の側から離れるな」
『そんなに何回も言わなくても分かってるよ』


さあ、行くぞ。となってから何回も離れるなとローからの忠告を聞き、永久は呆れていた。


「行くぞ」


船を出たのが30分程前の事。


そして、


『……分かってなかった』


店の前で一人佇む私が居た。


『ちょっと余所見しただけだったのにな』


数分前の出来事だ。
何時もの面々と島に降り、買い物をしていた時だった。
ある店のショーウインドーに飾られた絵に魅せられ、少し足を止めた事が良くなかった。
振り返った時には誰も居なかった。


『うそ…』





LAWside

しばらく歩き、そういえば永久は何が欲しいのだろう。とローが振り返った時であった。


「それで、永久は何が…」


着いて来ていた筈の永久はそこに居なかった。


「チッ、何処で逸れやがった!!」
「え!?船長!!」


後ろから聞こえたローの怒鳴り声に、ペンギン、シャチ、ベポは振り返る。
そこには走り出したローの姿しかなかった。


「永久が居ない!」


そう、着いて来ていた筈の永久の姿がなかったのだ。


「オレ達まで逸れる訳にはいかない。船長を追うぞ、二人共!」
「おう!」
「アイアイ!」


来た道を戻るが、何処にも永久の姿は見当たらない。


「クソッ!一体何処で逸れやがった」
「船長!一先ず、船に戻りましょう。もしかしたら、永久が戻っているかもしれません」


闇雲に探したところで、見付かる訳ではないんですから。
と言うペンギンに、ローは舌打ちをすると苛々しながら船へと歩き出す。
船に戻っても、やはり永久は戻って来て居ないようだ。


「ペンギン」
「はあ…分かりました」


結果、船に残ったクルー全員で永久を探す事になった。
そんな時であった。


「せ、せせせ船長!大変です!!」
「うるせえ……何だ」
「こ、これ!」


差し出したモノは、ニュースクーが持ってきた新聞と手配書であった。


「それがどうした。今、それどころじゃ…」
「永久が指名手配されてます!!」



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