海が導く

□act.54
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災厄と呼べるアルメリアが船を去った後、操られていたクルー達も正気を取り戻していた。


「オレ達は、一体…」
「何で、バラバラになってんだ?」


自分達の身に起きた事を全く覚えていなかった。


「ペンギン、臨戦体勢を整えるようにアイツらに伝えておけ」
「どういう事ですか、船長!…って、永久!?」


ローに抱えられている永久を見た途端、何かあったのかとペンギンは慌て出した。


「寝てるだけだ。それより、早く伝えろ。アイツは直ぐ戻って来る筈だ」


兎に角早くしろ。と言うと、ローはユアを呼び一緒に部屋を出て行く。
去って行くローを呆然と見送っていたペンギンだったが、直ぐ様正気に戻りクルーへと指示を出す。


「聞いていたと思うが、船長から臨戦体勢を取れとの命令だ。さっさと準備してこい!」


何時までそのままで居る気だ。とペンギンからの激昂を浴び、クルー達はバラバラな体を慌ただしく元に戻し始めた。





――――…


眠る永久をローは自室のベッドに寝かせた。


「何があっても、部屋から出るな」
「〈うん、分かった〉」
「…安心しろ。お前達は絶対に守ってやるから」


不安そうにこちらを見るユアの頭を撫でた後、一度永久へ視線を向け部屋を出て行った。





――――…


「海軍だ―!!」


思っていたより厄介なモノを引き連れ、戻って来たようだ。
前方から軍艦が複数こちらへ向かって来ていた。


「船長!軍艦にアルメリアと以前追って来た海軍が乗ってます!!」
「厄介な事になったな」


以前海軍に追われた時、永久が無意識に使った力。
その存在に海軍が気付いているなら、永久の身に今よりも危険が及ぶ。


「お前ら、絶対にアイツらを船内に入れるんじゃねえぞ」
「「「了解、船長!!」」」


知ってしまえば海軍にとって永久の力は、喉から手が出る程欲しいものだろう。


「起きてくるなよ、永久」



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