海が導く
□act.50
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『何で…?』
「落ち着け、永久」
『ねえ、どうして……ローまでなの?』
事の始まりは、数分前になる。
――――…
「お前……誰だ?」
『え?』
あまりの出来事に永久は言葉を失う。
「何を言ってるんですか、船長!?永久じゃないですか!!」
「永久?…お前の女か。それより、アルはどこ行った。オレの側に居ろとあれ程言っただろ」
『…何で?何で、アルメリアさんなの?』
信じられない。
そう物語るように、永久の顔色が青くなっていた。
『私が…悪いのね。ごめんなさい、ごめんなさい!!』
永久はその場に泣き崩れてしまう。
「鬱陶しい女だ。どっか連れて行け、ペンギン」
「永久…一先ずオレの部屋に行こう」
『……ん』
泣き崩れた永久は立ち上がると、ペンギンに連れられ医務室を後にしたのだった。
――――…
「落ち着いたか?」
『…うん』
取り乱して、ごめんね。
永久は泣き腫らした目で笑うが、全く笑えていなかった。
「無理するな」
『…ねえ、ペンギン…ローは、もう元には戻らないのかな』
今までクルーに起きていた事とローに起きた事が異なっていた為、ペンギンは永久に返す言葉が見付からなかった。
「ペンギン!あれ、どうなってんだよ!?」
そんな時であった。
突然部屋へとシャチが駆け込んで来たのは。
「煩いぞ、シャチ。一体どうした、ユアまで一緒に」
何かあったのか?とシャチへと問い掛ける。
「船長が変何だよ、ペンギン!さっき様子見に行ったら、アルメリアの事呼んで来いって言い出したんだよ!」
『っ…』
一体、どうなってんだよ!と困惑した声を出すシャチにペンギンは、肩を揺らした永久をチラッと確認した後、その事かと納得したように返事をする。
「ああ、知ってる。目覚めた時にも言っていた。それと、永久の事も覚えていなかった」
「それって、クルーに起きてた…」
「それが、どうやらそれとはまた違うようだ」
今までクルーに起きた事と、今回ローに起きた事が違うモノであるとペンギンは推測していた。
「昨日、船長の様子は誰が見ても分かる程可笑しかった」
「そうだな。昨日、アルメリアがあんなにベッタリとくっついてても、拒絶してなかったしな」
思い返せば昨日1日とはいえ、ローが永久の側に居ない事は不自然でしかなかったのだ。
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