海が導く

□act.38
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「話は聞かせてもらったぜ。オレが手を貸してやろうか?」


何処からともなく聞こえてきた声の方へ向き直ると、ニカッと笑うエースが居た。


『エース!!?』
「よっ!永久、無事帰れたみたいだな」


呑気に挨拶をするエースにどう反応を示すのが正解か分からず、永久は目を見開き固まる。


「ちょっ、待て永久!エースって、火拳のエースか!!」
「ハートの海賊団のクルーか。また、面倒事が起きたみたいだな」


「よっ、と」と甲板へエースは降り立つ。


「問題が解決するまでの間、永久をオレが預かるってのはどうだ。……“死の外科医”トラファルガー・ロー」
「火拳屋、お前に頼る程オレは弱くない」


何時の間にか甲板に来ていたらしく、ローは永久の隣まで行き腰に腕を回す。
まるで、行かせないと言うように。


「己の力に過信し過ぎると、大切なモノを無くすぞ。トラファルガー」
「うるせえ。オレに指図するな、火拳屋」


バチバチと二人の間に火花が散っているような気がして、オドオドと二人を見る永久を余所に二人は睨み合いを続けていた。


「船長、それから火拳…永久を困らせるのはそれぐらいにしてあげて下さい」


鶴の一声と言うべきか、ペンギンが二人へ言った途端二人は一斉に永久を見た。


「悪い、永久。そんなつもりで言ったんじゃねえんだ。お前が危険な目に合うんならと思って」
「安心しろ、永久。問題は直ぐ片付ける。だから、永久はこの船に居ればいい」
『えっと、あの……うわーん、ペンギン助けて!!』


余計に永久を困らせ始める二人にペンギンは頭を抱え悩み始める。
その時だった。


「ロー!!何処に行ったの。ちょっと離しなさいよ、シャチ!」
「そういう訳にはいかねえんだよ!!」


船内から金切り声で叫ぶアルメリアの声とシャチの声が響いてきた。


「チッ、シャチの奴ちゃんと押さえ付けてられなかったか」
「船長、永久を一先ず火拳の所で預かってもらった方が賢明な判断だと、オレは思います」


まさかペンギンにまで言われるとは思っていなかったローは、ペンギンを睨み付ける。
それに怯む事なくペンギンは続けた。


「何もずっととは言ってません。ただ、アイツに対する対策を考える間だけ永久を守ってもらうだけです」
「おいペンギン、誰に向かってそんな口利いてんだ」


殺されたいのか、とローの目は物語っているが、二人の間に永久が割って入る。



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