小説
□雨
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雨が淡々とひたすら降り注ぐ。月は見えない夜。
その夜、俺の大切ものがもう一つ欠けていた。
***
「つららがいない…?」
鴆の屋敷で鴆と酒を飲み交わしていたら、三羽烏がやってきた。
「はい。昼間に牛頭丸と言い合ってそのまま出て行ったままなのです。」
「昼間ってもうこんな時分だぞ?!」
鴆が驚いて声を上げる。
「はい。最初はそのうち帰ってくるだろうと思っており、皆心配していなかったのですが、夜になっても帰ってこず…。
総出で探してる状態で…。」
三羽烏が探せ出せないだと…?
俺は立ち上がる。
「てめぇらはもう帰れ。俺が行く。」