小説
□理由
1ページ/3ページ
「何でお前は月ばっか見てんだ?」
私がいつものように月を眺めていると勝手に隣に座ってきた牛頭丸が聞いてきた。
「綺麗だからよ。」
私はクスクス笑いながら答える。
「けっ。お前が俺の質問に素直に答えるわけねぇだろ。」
あら。私のことよくわかってるじゃない。
「嘘。」
私は笑って答える。
「リクオ様が月をお好きだから…。きっと今頃どこかで見てるんでしょうね。」
月を見るとリクオ様を思い出すからなんて私は言わないわ。
だってリクオ様を想わない瞬間(とき)なんてないもの。