小説
□宵夢
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『若ー。若ー。』
聞き慣れたでも暫く聞いていない心に響く声がする。
振り向くとその音色の本人がいる。
『…つらら?お前どうして此処に…?』
『私は若の側近ですよ?お側にいて当然です!!』
頬を膨らませる。暫くぶりのその声と仕草に思わず、酔いしれる。
『心配性過ぎるな。お前は。』
つらら。つらら。会いたか……。
****
瞳を開ければ、そこにつららはいない。
「つらら?」
俺はつららを呼ぶが、俺の呼ぶ声は闇夜に溶けていく。
夢か。
酷く、心寂しくなった自分に気付く。
『つらら。』そう呼べば、直ぐさま飛んでくるお前は此処にはいないんだな。
生まれた時からずっと側にいた俺の麗しき雪と氷の結晶。
つらら。
お前は今何してる?
お前は俺がいなくても大丈夫かもしれないな。
お前は俺より永きを生きている。
でも俺はお前のいないときを生きたことがないんだ。
つらら。
どうか未来永劫にいてくれ。
未来永劫に護ってみせるから。
俺はそのままつららに会えた夢の中に堕ちていった。
■END■
修業の合間に嫁を想う若!!早くリクつらを私に見せてーーー