ベリーな彼女。

□まってよ。(前)
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「んで? お前は何で泣いてんだよ」




 乱暴な言葉遣いとは裏腹に、公園のベンチに座り込んだあたしの頭をそっと叩くように撫でる敬太。




「うぅう・・・けいたぁ」


「あーうっとうしいな。ハッキリ言えっつの」




 相変わらずキツい物言いと、相変わらず正直に感情を映す瞳。決して人を傷つけようとしない優しい瞳に、あたしの涙腺は再び緩んで止まらなくなった。




「けいたぁ・・・」




 瞳に滲む心配と困惑の色に甘えて、うじうじと泣き続ける。我ながら本当に鬱陶しい。




「わーったから何か話せよ。わかんねーだろ? ・・・だいたい井上のことだろうけどさ」


「良いじゃんか・・・」


「そーかよ」




 心の距離が開いたなんて、そんなのありえない。自分がどう思いたいのかもわからなくて、あたしはただ頑なに首を横に振り続けた。



 
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