小説庫

□逢いたい。
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 最近、キャンデと話していない。学校が違うから仕方ない。それに俺が、家が隣なのに訪ねていくことさえできないからいけないんだ。決して、俺達の距離は離れていないはずなのに。


 アイツがフードムから帰ってきてからけっこう経ったのに、俺にはまだその事が信じられない。嬉しいんだ。嬉しいのに、もしも夢だったら・・・って思って、期待できないでいる弱い俺がいる。せっかく、アイツがまた昔のように、俺の隣にいてくれるようになったのに。


 まるで、アイツは幻みたいだ。突然行ってしまったのに、突然帰ってきて。それなのに全然いるような気がしないから、本当に帰ってきたのかって聞きたくなる。今、この瞬間にも行ってしまったんじゃないかって、不安になる。


 いつから会っていないだろう。 ・・・いや、違う。会ったといえば会ったんだ。家が隣だから、ふと見かけることもある。俺は確かにアイツを見た。見られたのに。


 ―――アイツは本当に、アイツだろうか。


 あれは本当にキャンデだったのか? 俺が知っている、アイツだったのか? アイツは・・・本当に存在しているのか? ここに。俺の、隣に。


 嫌なんだよ、もう。何でこんな気持ちになんだよ。アイツはここにいる。それが今だ。今も、隣の家で普通に勉強か何かをしてるはずなんだ。それなのに、何で俺はこんなに不安なんだよ・・・?


 アイツを失いたくないんだ。失うことなんて、きっと一生ありえないのに。アイツだって、ここにいることを望んでいるのに。なのに、どうしても・・・いつも姿を見ていないと、たった一日離れているだけで不安になる。いなくなるなんて、絶対に嫌なんだ。いつも一緒にいたい。真剣にそう思う。


 俺は、どうしちゃったんだ・・・? それだけアイツが好きってことか? 昔は俺を好きだと言ってくれたアイツが、今は俺をどう思ってるかもわからないのに?



 
 
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