小説庫
□二人の関係
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敬太は苛付いた表情で、どしゃ降りの商店街を足早に進んでいた。目付きが悪い上に完全にキレている敬太の様子に、道を行く人々が目を合わせないように彼を避けているが、周りが見えていない敬太には何も気にならなかった。
「ふざけんなよ・・・」
低い呟きに、ちょうどタイミング良くすれ違った小学生がびくりと肩を震わせる。どこへ向かっているかすら考えていない敬太には、何も見えなかったようだが。
「ふざけんなよあのヤロー」
いつになくぶち切れた目でドスの利いた声を出す敬太。彼をここまでキレさせたのは、今は自身の家にいる彼女、キャンデだった―――。