小説庫

□rose×rose
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「はぁ・・・」




 カレンダーと時計を見比べて、キャンデは深いため息をついた。


 目の前にあるのは、奮発して買ったショートケーキのホールと、苦心して作った手料理の数々。けれど、肝心な彼が来ないことで、それらは出番を失ってただテーブルを飾るのみとなっていた。




「やっぱり来ないのかな・・・」




 今日は、5月18日。敬太の誕生日だ。


 せっかく一緒に過ごそうと予定も空けたのに、その人物・・・敬太が来ない。誘った時も曖昧な返事で「行ければな」と濁されてしまったから、もしかしたら来られないのかもしれない。


 こんなことならば潔く友達と過ごせば良かった、とため息をついて、キャンデは幾度目か数えられないほど見たせいで見飽きた壁時計を見上げる。時刻は午後11時。約束した時刻は当に3時間過ぎていた。こんな時間まで恋人を待ち続けている自分が馬鹿らしくなり、とうとう風呂でも浴びて眠ってしまおうと決めて、キャンデは風呂場へ向かった。



 
 
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