ワケあり Extra 3

□金環食の そのあとで…
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2012年 5月21日(月)
午前 7:30前後から、
日本の広い範囲で
“金環食”という
天文ショーが観測出来るとか。
太陽の出ている時刻に、
太陽と地球の間へ
月が割り込む格好となって
陽の光を遮るのだそうで。
縁も余さずすっかりと
太陽を覆ってしまうのは
“皆既日食”だが、
月影の縁から僅かほど
太陽の縁を
はみ出させて残すのが、
陽の煌きの部分を
金の環のように見せるため、
そんな呼び方を
するのだそうで。

 「真っ暗には
  ならないらしいですね。」

 「ええ。
  なので、
  注意して待ってないと、
  うっかり
  気がつかないかも
  知れないんですってよ?」

あと、
UVカット加工を
されてあっても、
サングラスなどを
通して観るのは危険だ、
だとか、
時間が時間なので、
登校中に
よそ見をする子供が
増えかねず、
いっそのこと
登校時間をずらそうという
小学校も多い、とか。
1987年の沖縄以来、
本州だと実に1883年以来であり、
次に見られるのは
北海道で2030年とかいう
事象なだけに、
それへまつわる様々な情報が
ワイドショーやら
情報バラエティなどで
扱われたものの、

  でもでも、
  一番に取り沙汰されたのは
  当日の朝方は
  雲の多い
  天候になりそうだという
  ちょみっと残念な
  懸念だったりして……。




     ◇◇



いつぞやの“皆既日食”の折は、
朝っぱらから
雨が降ったにも関わらず、
始まる時刻に近づくほど
それも落ち着きの、
でも曇天には
違いなかったり…と、
さんざんに振り回された
地域が多かったのに比べれば。
今回のは、
この時期の
早朝特有の曖昧な明るさから、
所により薄日が差し…という、
まま救いのある
明るい中で迎えた格好。
はっきりくっきりとは
見えなんだところでも、
ご親切に
テレビでの中継があったので、
理科のお勉強という範疇では
十分に意味のあった
現象ではなかったか。

 『ですよね。
  真夜中の月食なんてのは、
  小学生には
  観察しろと言っても
  無理がある代物ですし。』

 『………。(そうそう。)』

 『私も何度か
  観察に挑戦したことが
  ありましたが、
  大概は、
  始まる時間まで
  粘れたら御の字で、
  その後の記憶は
  ないっての
  ばかりでしたもの。』

いつの間にやら、
月がらみの現象じゃあっても、
夜中の
月の満ち欠けの観察の
話になっているのが
ご愛嬌だった、
毎度おなじみ、
女子高生の“三華”の皆様は、
早めに出て来て
学校で観測するなぞと、
自主的に
何かするならともかくも、
学校サイドからの
あれやこれやには
縁もなかろ…と思いきや。
系列の幼稚舎と初等科が、
やはり朝の始業時間を
ずらしたとのことで。
ついでというか、
それならばというかで、
残りの午前中の授業では、
ちょっと詳しい内容の講義が
“お浚い”という名目で
行われることとなり。
それへの講師役に、
高等部の地学担当の
教諭やシスターも
お運びになるがため。
急な時間割変更の
刷り合わせが
突貫で行われた結果、
なんと高等部の方までもが、
遅いスタートに
お付き合いすることと
なってしまったのだとか。
天文学部などに所属の、
関心の高い子らはといえば、
早々と登校して
専門の機材で観察する
という話だが。
そこまでの期待は
してないクチのお嬢様がたは、
お家でゆったりと
観測をしてののち、
せいぜいご学友との
お喋りのネタに
するくらいかと。
そしてそして、
ウチでのお馴染み、
例の3人娘はといやぁ………。




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