ワケあり Extra 3

□緑雨の朝
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いよいよの夏だという
印象の強い“七月”に
入った途端、
梅雨らしい天気になるのは
よくある話で。
今年は
“空(から)梅雨”かしらと
思わせたほど
極端に
雨量が少なかった年でも、
帳尻合わせたいのか
というほど
この時期に
ざんざか降ったりもする。
小学校などでは
六月末から体育が水泳となり、
今年は早くから暑くなったね
なんて言って
こなしていたものが。
七月に入ってから
雨が降ったせいで
気温が上がらなくなり、
数値こそ適温でも、
気温が低い中では
寒さが増すか、
冷たい水に
震えながら浸かった覚えも
結構あったりする
筆者なのはともかく、


 「…………。」


さあさあさあと
遠くから聞こえるのは雨の声。
ここいらは住宅街の奥向きで、
しっかり舗装された道は
整っているものの、
朝っぱらからの
自動車の頻繁な行き来は
ないせいか。
大雨でもあるんだろうけど、
そこへと増しての余計に、
雨脚の音が
冴えて聞こえるみたい。
いっそ
警報でも出る級の雨ならば、
学校もお休みになるのになぁ。
ああでも、
水での被害が出ていたら大変だ。
そんな不謹慎なことは
言っちゃあいけない。
思ってもいけない。

 「……。」

お部屋の空気は
微妙に湿度が高そうで、
そういや昨夜も
蒸し暑かったしなぁ。
……なかなかまぶたが
上がらないなぁ。
えっとえっと時計はどこだ。
目覚まし
掛けてなかったっけ?
腕も なんか重いなぁ。
枕がどっか行ってる、
あ、そか。
時計、この下かも知れない。
う〜〜、持ち上がらない〜。
頭が乗ってるから
しょうがないかぁ。

 「う〜〜っと。」

今日は、えっとぉ。
そうだ期末考査だ、
しかも厄日。
何でまた、
英文法と
古文と地学なんて、
微妙なタッグなんだろ。
しかも地学が最後。
その前の二科目で
撃沈してからじゃあ、
いくら得意分野でも、
なかなか頭が回らないってば。
大体、英語関係の成績が
ほにゃららなのって
ちょっと傷つくよなぁ。
誰に何言われても
気にしちゃいないけど。
ガッコのお友達にも、
そういう
揚げ足とりするような人は
滅多にいないけど。
でもさぁ。
アメリカ人も同然の
生まれと育ちなのに?って
内心で
そういう顔
されてんのかなとか、
ついつい考えちゃうし。
日本で育った子だって、
助詞の“てにおは”が
おかしいとか
故事成語や諺を知らない人って
多いじゃないのよねぇ?
でも、
そっちに敏感な
アメリカ育ちの方が
変なのかなぁ…?

 あ〜〜〜、
 何か起きるの
 鬱陶しいなぁ。

  「…あ・いた☆」

 ヘッドボードに
 手が当たったよぉ、
 痛たたた………。
 …あ、いい匂いする。

甘くて香ばしくて、
これってバニラと蜂蜜と、
あ、その向こうでは
ベーコンを焼いてる
匂いもするぞvv
ゴロさん特製の
パンケーキかな。
それともガレットかな。
バニラとイチゴのスムージー、
あ・いやいや、
朝はバナナと黄桃の
ミックスジュースかなぁ。
こないだのチャットで
キクチヨが、
関西じゃあそれが定番だ
なんて言ってたけど
ホントかな。

 「……えいやっと。」

しょうがない。
せっかくの朝ご飯が
冷めちゃっちゃあ、
ゴロさんに申し訳無いしね。
あ・は〜い。
今起きました、
そっち行きま〜すvv




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