ワケあり Extra

□ゆく春の…
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暖かだったり寒かったりして
気を揉ませ、
何だかんだで
結局は早咲きだった都心の桜たちも、
もうそろそろ
見納めの時期を迎えつつあり。
今どきの桜並木はどこであれ、
涙雨のような散華の一景。
花吹雪とはよく言ったもので、
ちょっとした風のそよぎにも
耐えかねて、
ほろほろと脆くも
ほころぶように散り続ける様は、
いつまで観ていても際限(きり)がなく。
花たちは春がゆくのを声もなく紡ぎ、
人は人で、声もなく
見ほれるばかりになってしまう。




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