■小劇場 3

□寒睦夜
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    ***



 「…っ。//////////」

力加減をされつつも、
のしかかる重みが心地いい。
充実した筋骨の堅さと、
ちょっとした身動きにうねる、
肉置き(ししおき)の躍動と。
精悍な匂い、馴染みのいい温み。
大きな手が髪に触れ、
そおと梳きつつ、
枕へと流してくれていて。
それへ気を取られておれば、
こちらの肩口へ別な髪の感触が降りてくる。
ああ、勘兵衛の髪だ。
温みが増して、吐息が聞こえ、
こちらの首元へと、
唇這わせる熱が触れる。
ちりと痛んだのは、
軽く吸われたせいだろう。
そこから広がる微熱があって。
胸の底がきゅうと絞られたように詰まり、
それが呼吸と共にほどけると。
今度は指先やつま先へまで、
しびれるような熱が広がる。
少しずつ息が荒くなるのへと、
もっとおいで、
こちらへおいでと、
誘いをかけるよに、
肌のやわらかいところへ、
熱い口づけが散りばめられてゆく。

 「……。///////」

愛しい愛しいと、
熱が吐息が囁いてくれているのが
判るのに。
肩を背を抱く雄々しい腕が、
自分を組み伏せる充実した上背が、
どれほどのこと、
この自分を求めているのかを伝えて来。
それへとくらくら酔わされて、
抗えないまま いっそ流されたい、
そんな淫らな自分が目覚めかけてる。


  …… なのに


 「…、シチ?」

首を引いて、頬を探して。
もがくような身じろぎは、
勘兵衛にもすぐさま伝わり、
如何したかと身を起こしたのへ、
手を延べて。
見下ろしてくるお顔のその頬を、
両手で包むように触れる七郎次であり。

 「…おかしなものですね。」
 「んん?」
 「自分は見られるのが恥ずかしいのに、
  お顔が見たくてしようがない。」

でも、それでは…あのその。
触れてはもらえぬ、
食んではもらえぬのもまた歯痒い。
どこもここも離れぬようにと、
息が詰まるほど
ぎゅうと抱いてもらえぬのも
詰まらない、と。
きれいな指が
こちらの頬やおとがいを撫でるのへ。
ほのかに輪郭の浮かぶ白いお顔が、
うっとりと見上げてくるのへ。
何を言い出すものやらと、
壮年殿もまた、その口許をほころばせ、

 「むさ苦しいばかりの御面相をか?」
 「何を仰せか。
  このような男ぶり、
そうはありませぬ。」

しようのない奴と笑われますか?と
訊く声へ。
そうさな、
興を冷ますよな奴は、
一体どこから食うてやろうかと、
ほのかに笑みを滲ませたお声が返り。
ふふふ、くつくつ、
小さく微笑う気配がそのうち、
甘くも濡れた睦声へと
変わってのそれから。


  あとは誰にも聞かせはしないよ
  蒼月が夜の底へと
  塗り潰してしまうから……




   〜Fine〜

  10.01.23.




何のこっちゃな
いちゃいちゃ話ですな。
ちと切ない系を
PCサイトでUPした直後だったので、
甘いお話を書いときたくなりました。
どっちにしたって覗きは
ご法度だったようですvv
夜長に寝ぼけて書いた
たわごとですので、
どか、大目に見て下さいませ。




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