ワケあり Extra 3

□何てことないお茶受け話vv
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 平日ど真ん中の放課後の ちょっとした隙を突き。部活もないのに、とっとと帰らずのこそこそと。先生やシスターの眸も盗んでのこと、これもお持たせの焙じ茶片手に、三笠まんじゅうにぱくつく、微妙にナイショなお顔も、実はお持ち。家へ帰るのが憂鬱な訳じゃないし、途轍もなく遠いのが今からうんざりという訳でもない。寄り道は校則で禁じられちゃあいるが、クラスメートのお家で宿題を一緒に片付けるだけなら、先生方も細かいことは言わぬだろから、平八の居候先である甘味処へ立ち寄っても叱られはしないのだが。

  何と言いますか、
  あのそのえっと。

 今日という一日の半分以上を過ごした空間にて、余韻に浸ってのまったりと…というか、よっこらせというノリにてズルズルと身を置き、取り留めのないお喋りに花を咲かせたいなとか。そういう ややダラケたことをやらかす性だって、実は持ち合わせているんですのよという。乙に澄ましていはしても、実のところ、一皮剥けばごくごく普通の娘さんたちであり。しかもしかも、良家の令嬢たちばかりなはずが、

 「あんこ系の甘味って、
  意外と、
  食事系のスープとか
  ラーメンとかにも
  合いますよね。」

 「……っvv」

 「そうそう。
  塩味とは喧嘩するかと
  思いきやvv」

  あれですかね、
  スイカに塩とか、
  ぜんざいに刻みたくあんを
  つけるとかと一緒で、
  甘みを一旦消すからか、
  それとも
  立たせ合うからなのか。

  え?
  ぜんざいにたくあんは
  アタシ知りませんでした。

  バームクーと
  チキンコンソメも。

  あ、それも最高vv

 微妙に庶民的な嗜好にも詳しいのは、今まで生きて来た十数年とは別口。前世とか呼ばれる“生”での経験値も こそりと持ち越して来ている身の上だったりするからで。とはいえ…甘味に塩が合うなんて、一体“どの時点”で得た感覚なものだろかは謎ですが。(苦笑)

 「でも、
  久蔵殿のところだと、
  お抱えシェフの
  西丸さんとかおいでだから、
  そういうのって
  なかなか
  食べられないんじゃあ。」

 そう言う自分のところも、お抱え料理人の一団がおいでの七郎次が。蜜をまとってしまった白い指先をちろんと舐めつつ、家ではおやつやお夜食まで用意されてもいるだろから、そういう勝手なものは食べにくくない?と、三木コンツェルンの令嬢へ訊けば。

 「……ヒョーゴのところで。」
 「お?」

 お口に三笠をパフのように伏せつつだったため、心なしか声が小さくなっての。しかもしかも………。

 「〜〜〜〜。////////」

 「奥様、見ましたか?」

 「見ましてよ、
  片山さんトコの奥様。」

 大方、素行の上での“後見人”(と書いて“おかん”と読む)たる、お医者せんせえの兵庫さんが。公言出来ぬ取り合わせの食べ物を、でもでも食べたいと欲するなんて。名のある家の令嬢には行儀のいいことではないとしながらも。ぶつぶつ言いつつ、それでも用意してくれるのだというの、言いたいらしい久蔵殿だったのはまま判るとして。言いながらの同時進行、それは鮮やかに真っ赤っ赤になったのを差してのこと。まあまあ臆面もなく惚気たりしてと、ツッコミかかった残りの二人だったものの……。

 「や〜ん。///////
  なにどさくさ紛れに
  言い出しますか、
  シチさんたら。」

 「あらあら
  何のお話かしら?
  そう遠くはない
  お名前でましょ?」

 「じゃあ
  私も言い直しますよ?
  島田さんチの奥様ったら
  何をいきなり。」

 「きゃ〜〜〜〜っ、
  やめてくださいよぉ〜〜っvv///////」




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