砂 時 計
□淳-sunao-
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「なあ、お前って生きてる意味あんの?暗いしうざいし、友達もいないし、ぶっちゃけ何の為に生きてるわけ?」
しんと静まり帰った放課後の教室で彼は僕に言った。
鞄の中身はぶちまけられて、学生服のボタンがいくつかぶちりと千切れている。
頬が痛くて少しでも口を動かそうとすると奥のほうからヒリヒリした痛みに襲われた。
倒れた机の上に倒れ込んだ僕の姿は最高にみっともなかっただろう。
それに立ち向かおうともしない自分も…哀れだけど。
目の前に立っているのは先週まで友人面していた同級生たち。その背後にも何人かの同級生がこちらを見下ろしている。
彼らは僕を見下して自分は上なんだと思いたいんだ。
そんな連中の、塊。
僕は気付けばいじめの標的となっていた。
同級生の白幡孝也(しらはた たかや)がその主犯格であり、僕は孝也の影に怯えながら中学時代を過ごした。
孝也は学級委員で教師や生徒の信頼が厚い優等生。
だから誰も気付きもしなかったはずだ。
その裏に秘められた、冷徹で鬼のような素顔を。
そう、僕は今でも忘れることが出来ないんだ。
――あの悪魔が吐いた台詞を。