月夜ノオトシモノ
□ウサギとの出逢い
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まじでびっくりした。
―…俺はビル清掃員のアルバイトをしている。今晩から町外れに立つビルの担当となった。
三日月ビルという名前のビルはテナントがほぼ撤退している寂れたビルである。外観もボロい。エレベーターはギシギシ音が煩いし、いまに取り壊されてもおかしくない所だ。
そして、ボロい外観ゆえに、三日月ビルは何かが出るという噂が同僚の間でもあった。
前に担当していた先輩も窓からヒトダマを見たとか言っていた。あと誰もいない部屋から足音が聞こえたとかなんとか。
だが…おれはあまりそういう類の話は、信じない。
――…だって、怖いじゃん。
おれだって気乗りはしないよ。でも誰も行きたがらない三日月ビルの担当となってしまったんだ。頼まれたら断れないんだよな…。