復活

□Sweet Winter
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「…ごめん、オレなんかの補習に付き合わせちゃって」

「別に良いよ。
 それにツっ君の頭の悪さは私じゃないとどうにかできないし」

「ハハッ、そうだね」



12月も後半に差し掛かろうとしていたある日の放課後。


テストで悪い点を取った幼馴染の補習に付き合うなんて、中学校からの習慣。

私が教えれば先生が教えるのなんかより上達するし、
何より彼自身が嬉しそうだった。

その嬉しそうな表情は、
思いを寄せる女の子と一緒に居られるからなのか、
先生より質問しやすい空気からなのか。

私からしたら今世紀最大の謎だわ。


彼は誰にだって優しいから、その感情が読み取れない。

ほら、今だって。



「あ、ねぇ寒くない?
 これ、使って良いよ」


そう言って彼はマフラーを自分の首から外し、私に渡す。

まだ彼の温もりや香りの残ったそれは、
私の身体を温めるには充分すぎた。



「…ありがと」


むしろ暑いわ。

それに心臓とか頭とか、おかしくなっちゃいそう。

顔、赤くないかな。



何気なく、
ポスッと顔をうずめてみれば、見つけたほつれ。



「ツナ、これ…」


「あ、小学校の時から使ってるからさ、ボロボロだよね」


そういって苦笑いする彼。

新しいのを買おうなんて思わないんだろう。

まだ使えなくないもんね。
実際、すごく温かいし。

それに、みたところ奈々さんの手編みだわ。

こんなの、彼が捨てられるわけない。



「あ、あのさ…」

「?」

「マフラー、新しいの編んであげようか」
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