Other
□Winter
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「アンタたち、夫婦喧嘩なら外でやってくれる?」
ガタンッと音を立てて立ち上がったハルヒちゃんは、ビシと私たちを指差して言った。
「ふっ、夫婦喧嘩じゃないもん!」
「そうですね、まだ夫婦ではありませんね」
「まだって何、まだって!」
夫婦だなんて、とんでもない!
…そういう未来も悪くないかも、だけど…。
「そうですか、ではあと1年待ってくださいね」
「心を読むなぁっ!!!」
「SOS団はバカップルお断りよ!」
ポイ、という効果音が付きそうな勢いで、私と古泉は部室から追い出された。
「おや、困りましたねぇ」
「困ってる顔には見えないね」
廊下は部室よりも冷え込んでいて、身体が震え出すのが自分でも分かる。
「ねぇ、本当に寒いんだけど」
そう言っても、古泉は「おいで」と言わんばかりに腕を広げて微笑んでるだけ。
いい加減、本当に凍え死にそう。そんな事無い、って分かってるけど。
家に帰ろうにも鞄は中で、鍵かけられちゃったし。
「別に…古泉とくっつきたいとか、そんなんじゃない…から」
そう言って2,3歩近付けば、腕を伸ばして、抱き締められた。
「素直じゃないですね、俗に言うツンデレですか?」
「煩い」
(冬も悪くない、と思った)
end.