復活

□この世で一番怖いもの
2ページ/3ページ



煙が晴れて、辺りのざわつきにも耳を傾けられるようになった。

皆が口々に私の名前を呼んでる…知っている人…?


ゆっくりと目を開けて、顔を上げる。

さっきから私を呼ぶのは貴方…?



「***さん!」



私の肩を掴み、揺らす。…うん、ちょっと苦しい。



その人は…どこか見覚えのあるような、ないような。そんな銀髪。

必死で思い出そうとしてみるけど、思い出せない。


キーワードを探そうと周りを見ると、ある人と目が合った。



「…骸、さん…?」



すごく大人びてるけど、間違いない。
相変わらずな髪型。後ろの一束だけが長いのが少し気になるが。

また他の人も見てみる。

そう思うと、皆なんだか知っている人のような気がした。


あの黄色い鳥は雲雀さんの…?じゃあ、あの人が雲雀さん。

じゃあ、目の前の人は…もしかして獄寺君?


あっ、あの人はランボ君が10年バズーカで入れ替わった時に見た…イーピンちゃんもいる…


…………ってことは……



「10年後…!?」



思わず、獄寺君の手なんて無視して立ち上がる。

そう思って見れば、皆10年後の姿なのだと理解できた。



「10年前の俺が御迷惑をおかけしているようで…」



スッと前に出て話しかけてくれたのは、10年後のランボ君。

獄寺君も立ち上がり、裾をパタパタと叩いて、


「やっぱり10年バズーカか……よりによってこんな時に…クソッ」


その舌打ちの意味を理解する前に、私は山本君に手を引かれ、


「ま、とりあえず中入れよ!いくら5分といえど、玄関っつーのもあれだろ?」


私がいた場所は、どうやら玄関だったらしい。

私たちが歩き出したとき振り返ると、獄寺君と骸さんが慌ててお話ししているのが見えた。



山本君は常に微笑んでたけど…心から笑えてるようには思えなかった。

10年経ったからといって、変わってしまうとは思えない。

話す事もなかったので、思い切って聞いてみた。



「あの…何かあったん、ですか?」


「ん、ちょっとな!あ、昔みたいにタメで良いんだぜ?」


なんだか、はぐらかされたような気がする。
けど、聞いちゃいけないって、なんとなく感じ取った。

だから、もう一つ気になった事を尋ねてみた。



「ツナ君はいないんですか?」



ピタ......

山本君は立ち止まり、俯くと辛そうに顔をしかめた。

でも、腕時計を確認すると、



「これ聞き終わる頃には5分だな」


私の方に向き直ると、いつにない真剣な表情で、言った。





「10年後のツナは…………死んだ」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ