満月の夜に贈る歌

□知らなければ
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高校3年生の教室─



学校の一大行事が終わり、文化祭に出演する予定の無い者は受験勉強や就職活動に明け暮れていた。

暁もその1人だ。





「岩倉、お前進路どうすんの?」



高3ならではの会話。


暁はため息をついて言った。



暁「実は…何も決まってないんだ。」



しーんとなる教室。



「嘘ー!!!」



「ありえねぇー!
一番決まってそうな気がしてたのに…」




そう、クラスメイトたちは暁は法学部のち警視庁に就職するものと思っていたのである。




しかし、暁は蝶ヶ咲家がこの学校…もはや日本までもを支配するようになってから、自分の進路よりも蝶ヶ咲家汚職の証拠集めに専念してしまい、この10年の間自分のことを考える暇がなかったのだ。




そして、今も





暁と冬木は、沙羅と歌月に例の話を打ち明けることすらできぬまま、ついに1週間が経とうとしていた。


絶交させるか、冬木を解雇にするか…選択させるのは今日しかないのだ。







「岩倉君、さっきからため息だらけよね。」


「そんなに進路の話しが堪えたのかな…」






誰にも打ち明けられぬ悩みを1人で抱え込むのにも疲労を感じてきた─


もう、いっそのこと蝶野と夏椿が絶交してしまえばいいとさえ思ってしまう…






誰か、助けてくれ…
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