満月の夜に贈る歌
□恋の芽生え
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沙羅「えっ・・・
歌月、どうして?」
沙羅は、しばらくそこから動くことができなっかた。
そんな沙羅を余所に、歌月と謎の美女は優雅にワルツを踊り続ける・・・
沙羅の眼からは、一筋の滴が落ちた。
なぜだかは本人ですら解らない。
ただただ、声もなく―
私、ここに居られない・・・
沙羅は猛スピードで家に帰った。
歌月のいない家路を走りながら、沙羅は心の中で叫んだ。
沙羅『歌月と組もうと思ってたのに!!』
そう思うと次々に涙が溢れてくる。
歌月「?
今、誰かに呼ばれた気がする・・・」
「気のせいよ。」
午後4時。
いつもより早い帰宅に、母と姉は驚きを隠すことができなかった。
母「沙羅!
もう帰ってきたの?
車の音がしなかったけど、今日は歌月君が一緒じゃなかったの?」
沙羅「うん。
今日は歌月、用事あるって。
・・・私疲れたから寝るね。
夕飯もいいや。」
そう言って部屋に上がろうとする沙羅に、母は心配そうに言った。
母「学校で何かあったの?
夕飯くらい食べなさいよ!」
しかし、沙羅は一言「おやすみ」とだけ言い、部屋に入って行った。