満月の夜に贈る歌

□蝶の如く・・・
2ページ/11ページ

体育室に入ると、見知らぬ外国人の男性がいた。


もしかして、今日の担当の先生なのかな…?




沙羅がおどおどしていると健がやってきて言った。


健「あの人はダンスの担当教師。
フランス人のフランソワ・シモン先生。

いつもはフランスにいるんだけど、毎年この時期になると日本に来て僕らの指導をするんだ。」


そして、沙羅をシモン氏の元に連れてゆき、紹介と挨拶をさせた。






シモン「では、みなサーン!レッスンを始めマース!」




かくして、ダンスの実技レッスンが始まったのだが…







シモン「ノーン!!!

マドモアゼル・夏椿!
もっと恥捨てなサーイ!」

沙羅「は、はい!

こ…\\\こうですか?」


沙羅は精一杯のスピンターンをしてみせた…





が、







シモン「うーん。
全然ダメー。

初めてにしても基本のステップも何もなっちゃいないネ。

君、要練習だネ!」







午後の体育でシモン氏に散々言われた後、沙羅は精気を失っていた。






沙羅「・・・・・・」



力無く、ぐったりと机に伏せていた。


麻理奈「…だ、大丈夫?」


麻理奈が心配そうに見つめる。


沙羅「ダメだ、私。
ダンス大会…出たくない」

ついに弱音を吐き出す始末であった。
それを見兼ねた麻理奈は言った。



麻理奈「そうだ!
あのね、カヅ君ってダンスがとっても上手なの!

沙羅、カヅ君に教えてもらいなよ。きっと優しく教えてくれるから!」





えっ…

歌月と



だ、ダンス〜〜!?


ひゃぁぁぁあ!!!\\\






「あいつ本当に大丈夫か?」



先程まで脱け殻のようだったのに、1人で顔を赤くする沙羅をクラスメイトは不審に思った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ