満月の夜に贈る歌
□広がる輪
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沙羅の方をちらっと見ると歌月は微笑みながら言った。
歌月「へぇ、沙羅と健は同じクラスだったのか。
僕は沙羅のクラスに遊びに行こうと思ってたとこだよ。」
そして再びにこりと微笑んだ。
ドキッ
沙羅の心のビートが速くなった。
沙羅「そ…そうなんだ。
今もうすぐ学級委員の仕事終わるからちょっと待ってて;」
すると隣できょとんとしていた健が言った。
健「あっ、それならオレも混ぜてよ!
前々から思ってたけど、夏椿さんいつも1人で寂しそうだったし、オレも友達と2人で食べててその子と『夏椿さんと食べたいね』って言ってたし。
よし、早く終わらせよう!歌月待っててね。」
桜井君って歌月と友達なんだ
仕事が終わり、歌月と沙羅と健は教室に入った。
クラスメイト(特に女子)たちは彼らが入るなり黄色い声をあげる。
「キャー!歌月さんよ!」
「蝶野さん…今日も素敵」
沙羅は歌月の人気に圧倒される。
と、席についていた女子が1人こちらへやってきた。
「遅いよ、健ちゃん!」
健「ごめん、ごめん。
いや、途中で歌月に会ってさ。」
するとその女子は歌月と沙羅の方を見た。
健「2人をお昼に誘ったんだ。ほら、前から夏椿さんと話したいって言ってただろ?」
健は沙羅の方を向いて言った。
健「夏椿さん、桑田 麻理奈(くわた まりな)だよ。
オレの幼なじみで、小学校から歌月と3人とも仲がよかったんだ。」
麻理奈「夏椿さん、よろしくね!」
麻理奈は沙羅に手を差し出した。
沙羅「こちらこそよろしくね!」
2人は握手を交わした。
そんな様子を歌月は微笑ましそうに見つめている。