モノガタリ
□海岸で
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耳元で草が、ソヨソヨと揺れる音がした。
<ここ…どこだろう……?>
思うように目が開けられない。
まだ体に慣れない?と言うか……
今は意識だけが漂っているような、そんな感じがする。
だが確かに体が存在するようだ。
その証拠に、自分は横たわっているらしく、背中には僅かに湿った土の感触がした。
<かぜがきもちい……>
「お…い……」
「ねぇ、起きて」
<誰かの声がする……誰だろう?>
「起きてってば!」
ユサユサ
誰かに強く揺さぶられて、漸く目を開けた。
「よかったぁ!目を開けなかったらどうしようかって思ってた所だったよ!」
目の前に居るのは、つぶらな瞳に黄色い体……ギザギザ尻尾を揺らしたピカチュウ。
どうやら先程から話しかけてきているのは、このピカチュウらしい。
辺りを見回しても、他にそれらしい人物はいない。
と、言う事は……
<えぇ!?ピカチュウが……>
「ぼうっとしちゃって、どうしちゃったのさ?」
「ポケモンが……喋ってる!!!!」