Novel

□黒猫堂へようこそ
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「え…!?あの…私、なんか変なこと言いました?」


「いや…」


「そういえば、麻由里さん。最近、何か悩み事をお持ちだったりしません?」


「え?あー…私、デザイン科なんですけれど最近は、良いデザインが浮かばなくて…」


麻由里が苦笑いしながら言った。


「そーじゃなくて!」


睦月がビシッと指を突出した。


「恋愛の悩みとか!」


「ん〜…特にないです」


「麻由里…カップの底を覗いて見ろ」


麻由里はコーヒーを飲み干し、カップの底を覗いた。
すると、麻由里の口が勝手に動き始めた。


「マスター、魔法を使ったんですか?」


「あぁ。まぁ…安心しろ。麻由里の記憶には残らない」


麻由里は意識がもうろうとしている中で話している。


「…この間、仲良い友達と遊びに出かけたの。だけど…その帰り道、余所見をしていた私を庇って車にはねられてしまったの…。私、どうしたらいいのか分からなくて…」


麻由里の目から涙が溢れ出る。


「そのお友達は…無事なんですか?」


結梨音の問いに麻由里は頷いた。


「たまたま運が良かったみたいで…全治2ヵ月ぐらい…。でも、私、夏穂に会わせる顔がなくて…」


「それで、お前はなんか努力をしたのか?」


「怖くて…嫌われるのが怖くて…」




*****




「さて、誰が担当しますか?」


気を失った麻由里を見つめながら、結梨音はカウンターへ戻った。


「俺はパス」


「睦月はどうします?」


「……いいよ。私が担当するね。マスター、魔法解いていいよ!」


パチンッ!


マスターが指を鳴すと麻由里の意識が戻った。
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