Novel
□黒猫堂へようこそ
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「はい」
少女はニコリと笑った。
「えーっと…中学生ですか?」
「いいえ…これでも一応大学生です」
少女が少し俯きながら答えた。
「あ…すみませんでした。えっと、お名前は…?」
「赤津 麻由里(アカツ マユリ)です。大学2年生です」
「そうですか。若いですね。私は、結梨音といいます。」
「あの方たちは…息子さんと娘さんですか?」
麻由里がマスターと睦月の方を見て、小声で聞いた。
すると、結梨音はクスッと笑って答えた。
「いいえ。あの、不良高校生みたいな男の子がここのマスターですよ。そして、あっちの暇そうにしている女の子が睦月といいます。睦月もここで働いていますよ」
「マスターって、結梨音さんじゃないんだぁ…」
麻由里がポカンと口を開けた。
「おい…結梨音。誰が不良高校生だよ」
マスターが足を組み、何やら外国の文章が書かれた本をカウンターの上に置いた。
マスターの身長は175pぐらいで、細身。尚且つ、髪の色は金色に黒が入り交じっている。
まぁ…不良に見えなくはない。どちらかといえば、不良にしか見えない。
「え〜!でも、マスターは不良に見えるよぉ!」
睦月は頭痛が治ったのか、グルリと麻由里の方を向いて駆け寄って来た。
睦月は中学生に見える。実際はわからないが、年齢は高校生ぐらいだろう。茶髪のショートヘアーで身長は160pギリギリないぐらいだ。
「麻由里ちゃんはなんで、一人で来たの?」
「え…?」
「睦月…」
「はーい。わかっているよ、マスター」
「あのぅ…『マスター』って名前なんですか?」
「え…?」
今まで興味なさそうにしていたマスターが驚いて振り返った。