イナズマ
□俺達の始まり。
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「おーい!ヒロトー!!帰ろうぜ!」
部室で着替えおわると円堂さんがむこうからかけてきた。ヒロトさんが着替えおわるのをまっていたみたいだ。
「うん。おまたせ。今日は立向居も一緒だよ。」
にこっとヒロトさんが円堂さんに笑いかける。
二人の間に割り込んでしまった気がしてすみませんと俺はあやまった。
「なにあやまってんだよ立向居!いいにきまってんだろ!!」
円堂さんが明るく笑う。
心がじんわりと暖かくなった。
歩き出しながら基山先輩がなにげなくを装って口を開いた。
「そういえばさ、こないだ守に引越しするっていった時さ。あの後立向居と河原で話してたよね?いったい何の話してたの?」
びくぅっと肩を震わせあーとかうーとか必死になって言葉を探す円堂さん。ヒロトさんが昨日のことを見ていたと知っている俺はそれが意地悪であるとわかって、ちらりとそちらに視線を向ける。
―バラしちゃだめだよ?―
目が合ったヒロトさんはひどく楽しそうに頬笑んでいて、無言の圧力に俺は逆らえなかった。
しかし暫くして円堂さんは意を決した顔になってヒロトさんを見つめた。
「俺、お前に言わなきゃならないことがあるんだ。」
そんな円堂さんをみてヒロトさんは別の微笑みを浮かべる。
「ごめん、円堂くん。全部見てたから知ってるんだ。」
「え、お前、あれを見てたのか?」
「うん、あんまりにも少女マンガみたいな展開で面白かったから、見物してたんだ。」
「面白かったって、お前。でもなんで何にも言わなかったんだ?」
半ば呆れたように言った後。不思議そうに問い掛けた。
「待ってたんだよ。円堂くんから話してくれるのを。」
円堂さんは言うの遅くなってごめんな。とヒロトさんに謝った。
「いいんだ。どうせなら立向居が一緒の時の方がいいと思ったんだろう?」
「ああ。」
「あっそうそう、あと一応言うけど、引っ越しって言っても俺寮に引っ越すだけだからね?」
「「は??」」
唐突なヒロトさんの告白に俺達はバカみたいな顔をした。
「やっぱり勘違いしてたんだ。全く早とちりにも程があるんだから。」
今度はヒロトさんが呆れたように言う。
「なんだ、そうだったのか。よかったぁ。」
円堂さんが心底ほっとした顔になる。俺も安心して嬉しい気持ちになった。
でもそうなると、俺の告白は.....。
「なぁ、ヒロト。立向居に言わなきゃならないことがあるよな。」
こくりとヒロトさんが頷く。
「選択をして貰わないといけないことがある。」
二人の真っ直ぐな視線にじとり、と俺は嫌な汗をかく。どくり、どくりと心臓の音が速くなり気持ち悪い不安感に包まれる。何を聞かれるか予想もつかない。俺はただ次の言葉を待つしかなかった。
「立向居、俺達と恋人の関係になりたいか?」
下手な小細工なんて出来ない俺は、ただ嘘のない自分の気持ちに従った。
「はい。」
今度はヒロトさんが問う。
「それなら一つだけ聞かせて欲しいんだ。」
つぅっと冷や汗が頬を伝う。
「君が俺達と一度付き合ったらもう二度と離してあげられない。」
「このさきどんなに可愛い奴がいて心変わりしたとしてもお前はもう逃げられない。」
「それでもいいの?」
「後悔しないか?」
その瞬間とてつもない豪風が吹いてきて、俺のありとあらゆる負の感情を吹き飛ばしていった錯覚に陥った。喜びの甘い痺れが全身を駆け巡っていく。どうにかこの気持ちを表現したくて俺は二人に飛び着いた。
「勿論です!」
顔をあげて二人を見るとあっけにとられた表情をしていた。
「俺は今もこれからも、あなた達だけが絶対です!
もし俺が揺らいだらしっかり捕まえていて下さい!!それに俺だってあなた達を離しませんよ!逃げられないのはあなた達です!」
世界で一番幸せだという気持ちをこめた笑顔と一緒にそう伝えれば、二人は心底満ちたりた顔で笑ってくれた。
思いだすと赤くなってしまうようなこんな出来事。
これが俺達の始まりだった。
――――
終わりました!
大幅に大構築してしまいましたがいかがだったでしょう?書き出したらもう止まらなくて(笑)
お気に召さなかったかたはすみません。
また感想一言でも頂けると報われます。
では、読んで頂き有り難うございました。